今から半世紀以上前の出来事が「カスハラ」の起点

「お客様は神様です」国民的歌手の三波春夫さんが公演で話したことが始まり。その後、昭和のお笑いレジェンド、漫才トリオのレツゴー三匹が「三波春夫でございます。お客様は神様です」という表現で流行させ世の中に定着。結果、もともと三波春夫さんの“お客様を神様とみる”という心構えがレッツゴー三匹によって「お客さんは神様なんだから、何をしても我慢して尽くしなさい」と異なった解釈で広まり、定着し、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」の起点になった。
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カスハラの起点は、1961年の春。

昭和に流行したある言葉がきっかけ

 「お客様は神様です」は、国民的歌手の三波春夫さんが1961(昭和36)年、春の公演で心構えを話したことが始まりでした。

その後、昭和のお笑いレジェンド、漫才トリオのレツゴー三匹が「三波春夫でございます。お客様は神様です」という表現で流行させ、「お客様は神様です」という言い方が世の中に定着して行きました。

その過程で三波春夫さんの“お客様を神様とみる”というもともとの心構えがレッツゴー三匹によって「お客さんは神様なんだから、何をしても我慢して尽くしなさい」と異なった解釈で広まり、定着していったのです。

これが「カスハラ(カスタマーハラスメント)」の起点になりました。

そして、昭和、平成から令和へと時代が移り変わる中、「俺を誰だと思ってる、客だぞ!お客様は神様だ!!」となり、過度な要求が年々エスカレートして悪質なカスハラを助長していったのです。

ここで言うカスハラとは、顧客や取引先により過剰な要求や、不当な言いがかりなどを無理に押し付けられる、非常に悪質なクレーム行為のことです。

その結果、厚生労働省は2024年12月26日に開かれた労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)で、カスタマーハラスメント対策を義務付ける案を示し、了承されました。

その中で厚生労働省は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を次のように定義をしました。

■「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の定義

1. 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと
2. 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
3. 労働者の就業環境が害されること

上記全ての要素を満たすもの。

いつの間に歪んでしまった人としての心構え

カスハラの実態と企業に求められる対応

 悪質なカスハラの実態と従業員の保護のため企業がどのように対応すべきか。詳細は次の通りです。

■カスハラの実態と企業に求められる対応

カスハラの実態
・「お客様は神様」という考え方が、過剰な要求や不当な言動につながっている。
・悪質なカスハラは、従業員の心身に深刻な影響を与え、企業の業務にも支障をきたす。

企業の対応
・従業員を保護するための対策が急務。
・具体的な対応策は、相談窓口の設置、対応マニュアルの作成、法的措置の検討などが考えられる。

つまり、企業は従業員をカスハラから守るために、具体的な対策を講じる必要がある。

お客様を大切にするのは当然ですが、私たちは奴隷ではありません

 店舗経営でお客様を大切にするのは当然ですが、私たちは奴隷ではありません。お客様はありがたい存在でも、全ての要望に無条件で応える義務はないのです。

度を越えた要求を受け入れ続ければ人が疲弊し、守るためには条例や法律を検討せねばならない時代です。

実際、悪質クレームや過剰な要求への対応は多くの現場で深刻化しています。これは時代の変化を背景に、中小企業や個人商店でも無視できない問題となっています。

礼儀と感謝。そして、誠意ある接客や相応のリスペクトがあれば、不必要なトラブルは避けられるものです。しかし世の中には一定数度を越えてしまう人たちが居ることも否定できません。そうなれば身体や精神的に「おもてなし」をする側を保護するために、法律なり条例で制御するしかないのです。

このような結果を招いたのは、双方の『礼儀』を重んじる日本人の美德が失われて来た結果かも知れません。

「お客様は神様です」の本当の意味は「お客様を大切に思って仕事をしよう!」であり、社会や価値観が変わっても「お客様を神様として尊重する心」は大切なのです。

きっと天国にいる三波春夫さんも今、それを伝えたいはずです。

この記事は筆者が「note」に掲載した「【お客様は神様です!】の誤解」を要約、加筆したものです。

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