(2)現金管理
イントロダクション
経営では「人モノかね」のマネジメントが必要だとよく言われ、マニュアルを作成している企業も多い。同様に本「ピープル・ビジネス・オンライン」のマニュアル類も「人モノかね」を基軸に構成している。
「まだ早い」「大切な現金だから、最後でしょう」と思われた方もいたのではないか。多くの現場では、現金管理は後で教えることを見受けることが多く、貴重な人財開発機会を失っていることもあり、ここでなぜここで現金管理なのか。その目的などについて、先に解説したい。
店舗経営(ピープル・ビジネス)でも試行錯誤の繰り返しから、事務処理の後に現金管理を構成しているに至っている。根拠があってのことだ。普段、店舗経営で何気なく「人モノかね」のマネジメントを教える際、どこまで考えて教えているか。教える側も、教わる側も目的を理解して効果的なトレーニングをしているであろうか。
そして、短期間で高質人財に育成するために重要な教える順番があるのだ。そのキーワードは「感情」と「正確性」で人の心理に基づいた優先順位で構成されている。具体的には、以下の通り。
優先順位1:「感情」は無く、「正確性」は多少の誤差は許容される「モノ」のマネジメント
優先順位2:「感情」は無く、「正確性」を求められる「かね」のマネジメント
優先順位3:「感情」があり、「正確性」を求められる「人」のマネジメント
要約すると、
最初に「感情」の無い「モノ」のマネジメントを教える。ここで「感情の無いモノ」のマネジメント、具体的には在庫管理や発注などのこと。
次は「感情」は無いが「正確性」を求められる「かね」のマネジメントを教え、「感情は無いかね」のマネジメントで仕事の精度を向上させる。
それができて、最後に「人」のマネジメントに進める。人は「感情」の生き物で、他者コントロールが難しく、自己コントロールで「正確性」も求められる。
「感情」の無い「モノ」や「金」のマネジメントを正確にできない人にが「感情のある人」のマネジメントは難しく、例え、無理に教えたとしても「人的トラブル」から退職などの問題に発展する可能性がある。そのようなリスクをトレーニングの効果を最大限に引き出す目的もある。
即戦力化とは、段階的な能力開発によって実現する。ただやみくもに教えればいいと言うことでもない。そして、このような機会を通じて、教えられたことに加え、教えるコツなども自らが習得していくのである。教えられたことだけで学びを終わらせるのではなく、自分の能力開発機会ととらえ様々なことが学べるよう、主体性を引き出すようなシステムやマニュアルに織り込むことも必要なのだ。
それでは、本題の現金管理の解説を進めていこう。
現金管理とは
利益に直結し、売上や企業イメージにも影響する。不正の誘惑や衝動を与えない店舗環境
現金管理とは、店舗にあるすべての現金類の正確な処理によって、企業財産の保全をし最大限の利益確保と不正のない安心安全な労働環境を実現して、人財を人罪にせず人財に育成する管理の一つを指す。
すべての現金類とは、売上金、つり銭や小口現金などの現金はもちろんのこと、商品券やクーポン券などの金券のこと。特に無料券や割引クーポン券は軽視され管理がおろそかな場合もあるが現金と同じ。さらに、見落としされがちなのがレジ取り消し(誤登録)、返品や返金処理や店内の落とし金の処理なども含まれ、現金管理の範囲である。
現金管理の目的は、不正やミスを予防し、企業の生命線である利益と人財を保全すること。もし、内部不正が発生すると一度に二つの生命線を失うことになり、金銭的損失も大きいが、人的損失や店舗や企業イメージへの悪影響などのダメージも計り知れない。であるからこそ、徹底的な現金管理が必要になる。
利益確保というと経費削減やコントロールに意識が行きがちだが、現金事故や不正などによる利益損失は利益に直結し重大な影響を及ぼす。そして、現状業務や時間内で即実践も可能なので余計な工数やコストもかからず、結果につながるまで時間も短いので、費用対効果は抜群だ。どんなに現場で汗水流して獲得した売上も現金事故で一瞬にして水泡に帰し、大きな事態を招く可能があるのが現金だ。
また、現金管理を含む安心安全な店舗づくりによって顧客、スッタフ(パートアルバイトや社員)の安全を守り、企業の現金や所有物などの資産を守ることで、店舗最大の利益を確保し、伴う人財開発で店舗イメージがアップし売上も増大する。このように売上げや利益に直結するため、一般的な売上と利益の改善目安である値は下記の通り。