店舗監査[会計と業務]のすすめ方 6.物の監査 – 実施項目と着眼点

店舗監査 物の監査 店舗在庫数と証憑を照合

【この記事の概要】
 物とは、重要な企業資産。それを着服して自分で使うか、横流しによる横領を予防します。
 物の監査とは、実地棚卸と帳簿棚卸の差異の監査、いわゆる「棚卸ロス」から、その裏付けを現認と店舗の人に聞きながら実態を監査することです。例えば、商品などの販売や返品などの商取引が正しく行われているかをPOSレジなどの機材、商品、返品などの伝票やジャーナルなどの証憑類、店舗にあるはずの設備や機器などを固定資産台帳との照合によって、実際に存在するか?使用可能か?使用に関して何か差しさわりは無いかなど、帳簿と物の実態を監査するのです。

この記事の目次

1.企業資産の正しい活用と横流しによる横領・不正転売の予防

 店舗監査でモノの監査を行う場合は、商取引を行うに際して実際に使う建物や機材そして商品などが実際に活用できているか(故障や不備が無いかどうか)と社員により横流しされる可能性と顧客や社員による盗難の数や犯人捜しを動画で行うなどの追跡調査が必要になります。ここでは設備や機材*と商品とに分けて説明します。

*機材:店舗経営では原材料を仕入れて、保管、調理加工、陳列提供、販売や管理の過程において道具、機器や機材などが欠かせません。これらには道具、器具、機器、器機、機械や機材などさまざまなものがあり、正しく使い分けるためにも、それぞれ意味と違いを明確に把握することが必要です。ここでは簡易的に機材として一括りにします。

2.設備や機材についての実施項目と着眼点

(1)固定資産台帳に記入されている:その店舗にあるはずのモノ

 店舗監査に行く際は当該店舗にあるはずの設備や機材の固定資産台帳の情報をコピーして持参し、店舗にて実物に当たります。実際に存在するか?使用可能か?故障や使用に関して何か差しさわりは無いかなどの現認と店舗の人に聞きながら実態を監査します。

その際、固定資産番号やリース番号など対象物が特定できるような連番管理が行われているかを調べます。そして、もし存在しなかったり、場所が移動していたり、損壊など価値を既存していた場合はその状況を写真を撮るととともに経理データを修正できる証拠を入手して、後日本社に報告します。

もし、固定資産番号やリース番号などモノを特定できる情報が管理できていない場合は後日、経理を通じて管理の徹底をお願いします。

(2)固定資産台帳に記入されていない:機材など定位置管理が必要なモノ

 機材については出来れば定位置管理が必要です。

定位置管理とは機材類の置き場所を決めて置き、使用したら必ず元の場所に戻して保管することです。

店舗経営では、原材料、消耗品、調理機器、加工器具、清掃道具、マニュアルや帳票類まで定位置管理を行います。

「定位置管理」とは「5S(整理、整頓、清掃、清潔と躾)」の徹底のことで、店舗の各エリアのクレンリネスレベルを向上させます。整理整頓ができていれば、紛失などのロス、一目で在庫数量もわかるので棚卸しも容易になり、余計な在庫を抱えることも不要になります。さらに探す時間を無くすことで時間的ロスなど、さまざまなロスの予防も可能にします。

「定位置管理」では、保管場所や在庫数量と運用ルールである「使用したら必ず元の場所に戻す」を決めて、現場最前線のパートアルバイトスッタフまで徹底されているかを確認します。

「元に戻す習慣」を身に着けていただくことを励行してください。監査員は、担当スーバーバイザーを通じて、店長や社員に正しい働き方の指導まで行うことが重要なのです。監査という業務を通じて正しい働き方のトレーニングする機会と認識してください。

3.商品についての実施項目と着眼点

(1)管理ルールの確認

 商品を管理する方法を事前に調べて当該規定やマニュアルなどを事前に入手しておき、監査時に管理方法を聞きながら実際の管理方法が会社が決めたルール通りに行われているかを確認します。

特に商品については価値があり、盗難や損壊、横流しなどにより価値が棄損しますので、そうならないように注意が必要です。あらかじめ決まっているルールが徹底されているかを質問し確認するとともに在庫数量が正しいかどうかをいくつかの商品を抜き打ちで確認して、在庫する量の正しさを検証しましょう。

(2)検証可能性の確認と追跡調査による牽制効果

 最近ではネットで簡単に販売できる市場が出来ていますので盗難、転売されやすい環境になっています。そのために数量が合わなかった場合、棚卸しロスの許容範囲を超えるなどの場合に、商品の出入り記録と確認者の記録などにより社員が不正をした場合は検証可能な記録があるかどうか。

また問題があった場合は追跡を行い社員に牽制効果を持たせる(悪いことをしても追跡されて足が付くことを知らしめる)ことも大事です。

(3)盗難の確認(在庫不一致の許容範囲)

 いくら厳格に管理していたとしても100%防ぐことは困難で、残念ながら一定の盗難は仕方ありません。ですから盗難されたであろう数量を確認してそれが許容範囲に入っているかを確認して、もし一定数量以上であれば管理方法の見直しをするべく本社に報告します。

盗難の可能性は社員と顧客両方にありますが、管理方法により統計的に一定の範囲内に収まります。

ですから監査員は方法の見直しが必要かどうかの情報を管理方法を現地で確認することにより正当な注意が行われているかや、もし正当な運用がなされておれば管理方法を変える必要を促すことが必要です。

また防犯カメラに収録されている映像を見て不信者が記録されておれば、それを突き止めることもしかるべき役割を与えられた人を通じて行う旨を徹底してください。

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