【この記事の概要】
2.5万人もの従業員がベクトルを合わせ、主体的に行動することで驚異のリピート率を実現するディズニーの強み
ディズニーには、従業員全員に共通したゴール「We Create Happiness.(ハピネスの創造)」、意味は「すべてのゲストに幸福感をお届けする」があります。従業員はこのゴールを目指して行動をします。時には、ゴールに向かっているか、自身で行動を振り返り、迷ったときには行動指針“The Five Keys”(5つの鍵)で行動を見て、ゴールに向かってどう行動すべきかを見て行動します。社長やマネージャーらの上司は、「行動が行動指針に基づいた仕事ぶりか」の視点で従業員を評価し、具現者には、賞賛の意味を込めて一枚のカードが贈られるのです。
驚異のリピート率90%以上を実現するディズニーの強み
2.5万人もの従業員がベクトルを合わせ、お客様に感動を与える施策
東京ディズニーランドや東京ディズニーシーなどの東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドには、2024年3月31日現在で正社員5631人、パート・アルバイト・パート(準社員)20030人、計25661人もの従業員(キャスト)が在籍し、東京ディズニーリゾートには2023年度で2630万人ものお客様が来園されているのです。
そして、このお客様の90%以上がリピーターと言われ、驚異的なリピート率で東京ディズニーリゾートの強みのひとつとされています。
ピープル・ビジネスとはリピートビジネスです。お客様にいかにリピートしていただくかで成功するか、失敗するかが決まります。
そのため、東京ディズニーリゾートではさまざまなリピーター戦略を展開しています。このように言うと、外部向け集客施策をイメージされる読者も多いと思いますが、内部向け施策も外部向けと同じように強化しています。
実は、これが重要なポイントなんです。
それは、外部向け施策をどんなに強化しても、内部にいるキャストのモチベーションが低ければ、お客様に満足してもらうことはできないからなんです。でも実際には、内部向け施策がおろそかになっている中小企業もあるので、思うような業績が出せなかったり、離職率が上がったりすることが残念な点です。
では内部向け施策とは何か、解説しましょう。
従業員のモチベーションを向上させ、やる気や主体性を引き出す人財育成プログラム
ここで紹介するのは「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」と「ファイブスタープログラム9」という2 つの制度です。
この制度は、キャストのモチベーション向上を目的としていて、キャストの仕事ぶりを同僚や上司が見て、直接評価する制度です。日々の仕事ぶりが認められ、評価されるのでやる気や主体性が引き出されます。
自分の行動を誰かが見て、褒めてくれたという経験は、誰にとっても嬉しいことです。そして、「もっと頑張ろう」という意欲の向上につながる最高のモチベーション向上の機会です。
また、評価する側の人も、相手をよく観察して、良い点や改善点を見るスキルが身につくので、ミスや失敗の指摘やダメ出しで相手を変えようとするネガティブな対応をしなくなって、職場の雰囲気はポジティブになり、生産的にもなります。
「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」
各キャストがゲストへの接し方がとても優れていると感じたキャストの名前をメッセージカードに記入して投票するという制度です。得票数の多かったキャスト上位数百人が表彰され、キャストの活躍を皆で称えます。
「ファイブスター・プログラム」
ディズニーには、キャスト全員に共通したゴールがあります。それが「We Create Happiness.(ハピネスの創造)」というポリシーです。意味は「すべてのゲストに幸福感をお届けする」ことで、キャストはこのポリシーを目指して行動をします。
さまざまなキャストが、それぞれの役割のもと業務に従事しているので、業務中、必要に応じてこのゴールに向かっているかを自ら振り返ったり、このゴールに向かってどう行動すべきかをキャスト自身が迷ったときのための行動指針“The Five Keys(5つの鍵)”があります。
社長やマネージャーらの上司は、このゴールに向かってキャストの行動を行動指針“The Five Keys(5つの鍵)”に基づいた丁寧な接客や働きなどの仕事ぶりが目にとまったキャストを評価し、賞賛の意味を込めて一枚のカードが贈られます。
受け取ったキャストは、食事会に招待されたり、オリジナル記念品がもらえるというステータスがあって企業ロイヤルティの向上にもつながるのです。