【この記事の概要】
「部下を動かす」。直接的マネジメントから間接的マネジメントへ
店長は経営者の視点を持ち、冷静に対応できる器が求められ、店舗経営の知識・技術、ピープルマネジメント能力が不可欠で、従業員との良好な人間関係構築が成果の鍵です。そして、人材確保・育成、売上・利益獲得の責任に加え、高い店舗運営基準、コミュニケーション能力、人材育成能力が求められます。職務は売上獲得、利益確保、人材育成、顧客満足度維持・向上であり、短期的な成果ではなく、継続的な達成が不可欠です。
店長の仕事
店長は店舗の最高責任者として、経営、運営、管理業務全般を担います。そのマネジメントの特徴は、自身が直接業務を行うのではなく、部下や従業員を通じて会社の経営理念や目標を達成する間接的マネジメントが店長の仕事です。
店長になる前は、自身で直接仕事をすることが多かったと思います。しかし、店長になると将来の可能性が大きく広がると同時に、業務も仕事も一段と増え、店長一人で全てをこなすことは困難となり、部下を活かしたマネジメントが不可欠になります。
店長の役割と責任
店長の役割と意識
店長の主な役割は、パートアルバイトの確保と育成、部下の育成、高いお客様満足度の実現、そして店舗の売上と利益の最大化を目指すことです。
そのため、現状を正確に把握し、目標と基準との差異から課題を見つけ出し、部下や従業員との適切なコミュニケーション、トレーニングや権限委譲によるチームビルディングを通じて、従業員の能力を開発し、店舗の経営目標を達成することが求められます。
マニュアルやプログラムを単に実行するだけでなく、従業員との人間関係の確立と改善が最も重要であり、良好な人間関係こそが成果に繋がります。
店長は、店舗、人、そしてお金を動かす重責を担うため、中小企業経営者としての意識も求められます。
◆「人間関係」の詳細は次の記事を参考にしてください。

店長の責任と求められる能力
店長には店舗運営に必要な人材の確保と育成、売上や利益の獲得、そして店舗経営におけるマネジメント全般というお金を扱う大きな責任があり、それは、以下の3点です。
- 高い基準の店舗運営による高いお客様満足度(Q.S.Cレベル)の実現
- 店長としてのコミュニケーション能力と人材育成能力の向上
- 売上と利益を最大限伸ばす義務
「店長=店のレベル」とも言え、店長は会社の方針を遵守し、求められる基準を達成する責任を負っています。
そこで、必要になるのが、人材開発能力と利益獲得能力の2つの能力です。これらの能力は、高い基準での店舗運営の実践によって発揮されるもので、それを支えるのがリーダーシップです。
店長の職務(店舗経営の4大目標)
店長の職務は、店舗経営の4大目標とも呼ばれ、以下の4つが挙げられます。
- 売上の獲得
- 利益の確保
- 人材の育成
- お客様満足度(Q.S.Cレベル)の維持・向上
これらの職務は、一時的な対応ではなく、店舗経営を通じて段階的かつ継続的に実現していくことが重要です。
例えば、一時的に売上や利益を増やそうとするなら、大量のチラシやクーポン券を配布したり、一時的に原材料費や人件費を削減したりすれば、短期的に売上や利益を増加させることは可能です。
しかしながら、このようなその場しのぎの短期的な売上や利益の増加策は、中長期的に見るとお客様の期待を裏切り、固定客の喪失から大きな損失を生むことになります。
そのため、店長の4大職務の遂行によって、会社の求める経営理念や経営計画を段階的、継続的に達成することが店長には求められます。
店長の条件|求められる思考と姿勢
商売マインドの実践と経営者の器
店長には、経営者と同じ視点を持ち、事実に基づいて冷静沈着に対応できる経営者の器が求められます。店舗運営に必要な人材の確保と育成、そして生産性向上と商売マインド実践のためには、以下の条件が不可欠です。
- 店舗経営の正しい知識と技術の習得と熟練
- ピープルマネジメント(人間技術)、ピープルプラクティス(人の扱い方)の習得と熟練
店長は、部下や従業員の育成を通じて強力なマネジメントチームを構築し、全員が同じ目標に向かって一人ひとりが自分の仕事を更によいものにするように努力する人材を育成する責任があります。また、会社の定めるオペレーションマニュアルの遵守を徹底させ、キャリアパスプランに沿った人材育成を早期に行うことも重要な役割です。
店長という立場は、様々な困難に直面することがあります。そのような状況においても、一喜一憂することなく不動心で乗り越え、経験を通じて成長していくことが求められます。
店長に求められる思考と姿勢
店長に求められる思考と姿勢は、人材育成や店舗運営において、会社の理念や基準と現状を常に照らし合わせ、改善を通じてレベルアップを図る改善思考と再発防止志向、目標達成後も更なる高みを目指す常勝思考、現状に満足せず常に挑戦する成長思考が挙げられます。
これらの思考と姿勢を持つことは、店長自身が問題処理に追われることなく、長時間労働や休日出勤を減らし、ワーク・ライフ・バランスとQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を実現するためにも非常に重要です。
