パートアルバイト募集・採用マニュアル 3.募集準備(3)スタッフィング – 適正人員の算出

パートアルバイト戦力化マニュアル 人手不足対策・募集活動の6ステップ 募集準備 スタッフィング 職率の把握と離職者数の予測 あなたの店の離職率と離職率の目安 離職率は、店長のリーダーシップや人間関係などの表れ 突然の退職の穴埋めに

【この記事の概要】
 最大の売上と利益を獲得する適正人員の算出
 適正人員の算出と確保を「スタッフィング」と呼んで、売上、利益達成に必要な重要な概念です。この概念がないと人手不足が続き、人手不足に慣れてしまい本来得られるはずの売上も利益も逃すしさらに経営を圧迫します。また、サービス残業、早期離職、業務過多での負担増などから疲労、イライラやストレスからさらに現状を悪化させ負のスパイラスが続くことになります。是非この機会にスタッフィングという概念で人手不足から脱却し、売上と利益を獲得して安定経営を実現しましょう。

この記事の目次

店舗経営に必要な適正人員の考え方「スタッフィング」

昭和から慢性的に続いている人手不足の根本原因

 店舗経営、ピープル・ビジネスでは必要な採用者数を考える際にスタッフィング(適正人数)という重要な概念があります

必要な労働力の大半をパート・アルバイト(以下、P/Aと略)に頼るため、急な欠勤や退職はありがちなこと。

そのために急な欠勤などがあっても人員不足に陥ることがなく、かつ、急な売上や客数の増大や減少に必要な人員も、人件費の圧迫をしないで確保やコントロールし、いつ何時でも安定した店舗運営をすることが店長に求められる責任です。

このスタッフィングの概念がないと、人の採用は「辞めると言われてから」「辞めてから」対応することになるので、一年中人手不足に悩まさせることになるのです。

慢性的人手不足の原因 – 人手不足に慣れてしまうこと

そして厄介なことはこの状況が続くとで人手不足に慣れてしまうことです。

人手不足に慣れてしまうと、本来得られるはずの売上も利益も逃す機会損失によって、さらに経営を圧迫するため人件費を削減せざるを得なくなり、慢性的な人手不足になるのです。

この状態は、バブル崩壊後の1990年代初頭から現在までの期間、通称「失われた30年」で、人手不足の繰り返しからどんどん縮小均衡が進む負のスパイラルに陥り、人手不足で悩まされた店の特徴でもあります。

さらに厄介なことは、人手不足で店長や管理職が休日返上でその穴埋めをしたり、満足なトレーニングができなくてせっかく採用したP/Aの早期離職をまねいたり、業務過多で一人ひとりへの負担が増したりすることです。

その結果、疲労、イライラやストレスが生じて、従業員の疲弊やメンタルヘルスの問題、さらには店の雰囲気やイメージにまで悪影響を及ぼしてしまいます。

◆詳しい情報は以下をご覧ください。

ピープル・ビジネス理論 0章 概論 7.昭和から慢性的に続く人手不足。そして、将来不安へ

このような状態に陥らないための唯一の方法がスタッフィングなのです。

最大の売上と利益を獲得する適正人員算出の原則

売上目標達成に必要な労働時間、在籍人数、1人当たりの労働時間の適正は?

 最大の売上と利益が獲得できて人手不足にならない適正人員算出のため、次のケースを参考に考えてみましょう。

もしあなたが店長ならば、1日に必要なP/Aの総労働時間を40時間とした場合、1日当たりのP/A適正在籍人数はどちらを選びますか。

① 8時間×5人
② 5時間×8人

ここで必要な考え方は「在籍する人員に業務を割り振っていく」のではなく「業務量を見て必要な人員を割り当てていく」ことで人員不足や過剰人員などの対策を行い、あくまで自店舗ニーズに合った適正な人員を確保することです。

■この場合、P/Aの採用方法は

A:フルタイマー採用:8時間×5人=40時間
B:パートタイマー採用:5時間×8人=40時間

の2パターンになります。

そこで、店長のあたなはAとBのどちらを選びますか?また、その理由も一緒に考えください。

フルタイマーとパートタイマー採用のメリット、デメリット

 先に質問に答えるために、まずフルタイマーとパートタイマーを採用した際のメリット、デメリットを整理しましょう。

まず、パートタイマーの場合、多くは学生や主婦など他にも本業とも言うべき仕事を抱えて、あたなの店の仕事が副業と言えます。その場合、無理なく働ける時間しか働かないし、責任感も強く、生産性を考える傾向がある。

ただ、一人当たりの稼働時間が短くなる分多くの人員が必要になるが、売上(客数)の波に合わせて人員を揃えやすかったり、欠勤や遅刻があっても他の人員で補えたりするメリットもあります。

一方で、フルタイマーを中心とした場合、急激な売上や客数の増減への対応が難しく、遅刻や欠勤があると、他の人でカバーすることは難しい。

さらに、パートタイマーの在籍を多くすると労務管理などのマネジメント工数が増えたり、人間関係上の問題で「育った頃の退職」にもつながるリスクも抱えることに。しかしながら、在籍を多くすることで資質のある“ダイヤモンドの原石”を発掘する機会も生まれます。

これらから、パートタイマーの方が実は売上の波に柔軟な対応ができ、生産性が高く、人員過不足に陥りにくいのです。また、あなたの店で働いてやりがいを感じれば、自ずと労働時間が増えてあたなの店での就業が本業に変わっていくのです。

よって、「パートタイマーよりも正社員のほうがいい」という考え方が人手不足を招く一要因となります。

人手不足を解決するためには、店長や社長の右上であるスーバーバイザー(SV)が人の採用から育成と定着促進を自らの責任のもと実施することです。

そして、その過程で人間関係の構築や職場環境をつくることの重要性の経験によって、あなた自身の成長が求められるのです。

離職率や売上が獲得できるP/Aの育成があたなのリーダーシップであることと認識をしてください。

そして、あなた自身が採用して育てた人は、あなた自身が一番気になる存在であることも忘れないでください。

人手不足にならず、最大の売上と利益を獲得する適正人員の算出方法

売上目標と生産性目標を達成する適正人員数

 それでは、売上目標の達成ができ、会社の求める生産性を実現するために必要な月間当たりの適正人員はどのようにして算出すればよいのでしょうか。

まず必要なことは、正社員とP/Aを分けて適正人員数を算出することが必要です。

店舗経営における損益計算書の勘定科目では正社員は固定費で、P/Aは変動費として、損益分岐点が低くなるように設計されており、本来の正社員業務は店舗経営であって、P/Aの生産性を向上させる適正人件費コントロールによって店舗利益を確保することが求められるからです。

さらに、正社員の値を一人工として含んでしまうと正社員のサービス残業などによって良い値に変えることもできてしまい、コンプライアンスや人事評価上の問題もあり、本来の正社員業務でもなくなってしまいます。正社員の適正人員算出については別章で解説します。

そのため、この算出式ではP/Aのみとして正社員の値は含んでいません。

そこで、P/Aで売上と生産性の目標を達成する適正人員数の算出に必要になるのは、

① 総労働時間の算出
② 適正人員の算出

の順で算出することが必要になり、その算出は次の公式になります。

■ P/A適正人員=[月間売上目標÷目標生産性(人時売上高)]÷1人当たり月間平均労働時間

つまり、

① 総労働時間の算出=月間売上目標÷目標生産性

を求め

② 適正人員の算出=総労働時間÷1人当たり月間平均労働時間

を算出します。

・P/A1人当たり月間平均労働時間:60~80時間が目安。

■ P/A1人当たり月間平均労働時間の根拠
 P/Aはもともと学生や主婦であったりと専業があり、あなたの店での仕事は副業になります。そのため本業に影響しない範囲で副業をする必要があり、その範囲は、以下であることが必要です。

[副業の適正労働時間の算出根拠]
・1日当たり労働時間:5~6H
・週当たり労働時間:15~20H=1日5~6H×週3日程度
・1か月当たり労働時間:15~18H×4週=60~80H

これを超えると疲労や睡眠不足から本業と副業との両立が難しくなって、遅刻、欠勤や退職が増え、モラルやモラール面に影響を及ぼします。

P/A生産性:チェーンストア理論では人時売上高と呼ばれ、1人当たりが1時間で獲得する売上高のことでSMPHの略でSales Man per Hour[英]とも呼ばれる生産性(人時売上高)の意で単位は円/時。

それでは、次の例題を解いてみましょう。

【例題】
月間の売上目標1,500万円、生産性が15,000円、P/A1人当たり月間平均労働時間が80時間の場合の月間P/Aの適正在籍人数を求めよ。

【回答】
13名(=12.5)

【計算式】
(1,500万円÷15,000円)÷80時間=12.5名

さあ、それでは上記を参考にあなたの店舗に必要な適正人員数を算出してみましょう。

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