居酒屋淘汰の時代にも右肩上がりの成長を続ける「魚金流」繁盛の法則
魚金は他の居酒屋と何が違って繁盛したのか
魚金の歴史は1995年4月、新橋駅烏森口そば30坪のごく普通の居酒屋から始まりました。
現在では現在50店舗超、社員とアルバイト含め総勢1100人以上の大所帯で年商60億円超の大企業となりましたが、その勢いはいまだ衰えを知らずいまだ成長中です。
居酒屋激戦区の新橋で多くの飲食店が挑戦し、失敗し撤退する中、魚金はどのようにして繁盛店として成功を収めたのでしょうか。
味とコスパに厳しいサラリーマンから圧倒的に支持され続けるのはいった何でしょうか。他の居酒屋と何が違って、お客様から支持され、繁盛したのか。その核心に迫ります。
ブレない創業の想い「魚金のコアバリュー」
魚金の創業者である金原伸吉社長は自社のホームページでコア・バリュー(中核となる価値観)を下記のように説いています。
外食本来の楽しさを追求することは、みんなのチャンスにつながっている。
株式会社魚金ホームページ
株式会社魚金は、外食を通して、お客様にはもちろん、協力会社様にも、そして働くスタッフたちにとっても、そんなワクワクするようなチャンスをたくさん作り出す会社であり続けたいと考えています。(一部抜粋)
外食本来の楽しさを追求することは、みんなのチャンスにつながっている。
株式会社魚金は、外食を通して、お客様にはもちろん、協力会社様にも、そして働くスタッフたちにとっても、そんなワクワクするようなチャンスをたくさん作り出す会社であり続けたいと考えています。
このように、魚金は創業当初から、明確なビジョンを持って経営を行ってきました。それは、お客様に「驚きと感動」を提供することです。
その想いはまったくぶれずに、多くのお客様と社員の心の支えとして承継されています。
このビジョンは、創業者の強い意志と情熱によって、創業当初から徹底的に実行されてきました。その結果、魚金は単なる居酒屋ではなく、お客様にとって特別な存在となりました。
”逆見本詐欺”の元祖!お客様の期待を裏切るほどの驚きと満足の提供
バブル崩壊後、デフレの時代となり小売店などは各メーカーは価格据え置きで容量を減らすステルス値上げ*で販売価格の維持をしてきました。
その中でコンビニエンスストアを中心にした底上げ弁当、スカスカサンド(ハリボテサンド)、空洞おむすびや詐欺カップなどの見本詐欺商品で「ハリボテ」「詐欺商品」や「疑惑の炎上商品」と呼ばれた。一方で、メニューの写真よりも実際の商売のほうが大きい逆見本詐欺と呼ばれる商品が脚光を浴びた。
魚金の名物は、刺身盛り合わせを注文すると、人数分以上の新鮮なネタをボリューム感ある豪華な盛り付けで提供したり、魚の煮つけも丸ごと一尾を煮た品質も高く、ボリュームのある商品なのでおもてなしやお祝いごとにもおすすめの逸品です。
商品は一つ一つの完成度が高く、お値段以上の値打ちでとても満足度が高く、最強のコスパでお客様を驚かせる現在でいう”逆見本詐欺”の元祖とも言えます。
また、商品だけではなく、従業員一人ひとりがお客様への目配り、気配りと心配りの三配りが徹底されているサービスなので、注文もスムーズにできて、提供も早いため、サービスでも期待を大きく上回っています。
魚金では、お客様の期待を上回る満足感を与えることを目指していますが、商品だけにとどまらないお客様に「驚きと感動」を提供する戦略は、お客様の口コミを通じて広がり、魚金の評判を高めることに大きな貢献をしています。
◆ステルス値上げ*とは:レーダーに映りにくい軍用機のステルス(stealth[英]隠密の意)性能ように、消費者が気づきにくい「価格据え置きで容量を減らす」方法で行う実質的な値上げ
「魚金流」繁盛の法則
基本に忠実な商売の実践で人の心を動かす
魚金は、創業当初から「基本に忠実」な商売を徹底してきました。それは、新鮮な食材を仕入れ、丁寧に調理し、お客様に最高の味を提供することです。
また、清潔な環境を保ち、お客様に快適な空間を提供することも、基本に忠実な商売の一部です。魚金は、これらの基本を徹底することで、お客様から長く愛されるお店を作り上げてきました。
その1 創業社長の熱意と行動力
金原伸吉社長は決めたことはやってみる、やりきる。現状に満足せず次へ次へ。その姿勢が社員やお客様を動かす。
その2 売り方での差別化
商品での差別化が難しい素材提供型ビジネスで、他店では真似のできないほど、豪快な盛りつけでの提供を心掛けた。
その3 お客様のために
どこのお店より、少しでも良いものを少しでも安く、たっぷりと提供したい一心で、毎日毎日、朝早くから築地市場に仕入れに通い続け、商売の原則を貫いた。
その4 魚が安くて美味しい秘密
仕入れは大人買いで現金払い。仲買さんと信頼関係を築き、好みを厳選してくれた新鮮な魚で作る料理。
その5 真正直経営と究極的マーケティング
たくさん新鮮な魚を仕入れる
→ 豪快な盛りつけてで提供
→ お客様が喜ぶ
→ 口コミで評判が広がる
→ お客様が増える
→ さらに売れる
→ たくさん仕入れる
→ 市場が喜ぶ
というお客様の期待を裏切る満足の提供で圧倒的な支持を得た。
真正直な経営が評判が評判を呼ぶ善循環となり、究極的マーケティングによって「魚金」ブランドを築いた。
その6 難しいとされる職人の育成
職人を育てる教材は仕入れた魚。決められた工数で一定時間内に仕込まなければならない。
スピーディーに正確にやらないと自分が困るため、主体的に技術の継承が進み、エキスパートも育ち役割分担で最高の品質と生産性を実現によってチーム作りができた。
誠実な経営方針がもたらす信頼
「三配り」から生まれる心のこもった接客術
魚金の成功には、お客様への「おもてなし」の精神が根底にあります。
従業員は、お客様一人ひとりに心を込めて接客することで、お客様との信頼関係を築き上げてきました。
つまり、お客様への「おもてなし」とは先述の「三配り」接客術のことです。
具体的には、お客様への目配り、気配りと心配りによって、お客様のニーズを的確に把握し、そのニーズに応えることを心がけることで、お客様に対して魚金への特別な安心感と満足感を提供することが、お客様におもてなしを提供できた結果と言えます。
「四方よし」経営
何か特別なことというよりも、商売の基本の徹底を愚直に実践
繁盛というと、爆発的に売れる商品を目指して、商品ばかりににこだわり過ぎてしまう…。
魚金は、新鮮で美味しい素材を仕入れ、その提供方法にこだわった。その姿勢と熱意がお客様の心を動かしたのです。
それは、1号店オープン初日に「お客様から「良い店だよ。絶対流行るよ」と言われたことが源となって、お客様、仕入れや社員との間に信頼関係が築かれました。
そして、ワクワクするようなチャンスをたくさん作り出す会社であり続けたいとの金原伸吉社長の想いから、魚金は「四方よし」の経営哲学を掲げています。
「四方よし」とは、お客様、従業員、取引先、そして社会のすべてが幸せになることを目指す考え方です。この哲学に基づき、魚金は、お客様に最高のサービスを提供すると同時に、従業員の働きがいを重視し、取引先との信頼関係を築き、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
また、さまざまなことにチャレンジして成長を続けています。
魚金の口コミと評判
実際の口コミから見る満足度
魚金は、お客様から高い評価を得ており、多くの口コミサイトで高評価を獲得しています。お客様は、魚金の新鮮な魚介類、リーズナブルな価格、心のこもった接客、そして居心地の良さなどを高く評価しています。
これらの口コミは、魚金の評判を高め、多くのお客様に支持される要因となっています。
常連客が語る魅力
魚金には、長年通い続ける常連客が多くいます。常連客は、魚金の新鮮な魚介類、美味しい料理、そして温かいおもてなしに魅了されています。
また、常連客同士の交流も活発で、魚金は、お客様にとって特別な場所となっています。これこそが、究極的な固定客化であり、リピートビジネスであるピープル・ビジネスの原点とも言えます。
口コミが広がる仕組み
魚金の口コミが自然に広がる理由は、お客様の満足度が高いことにあります。お客様は、魚金で素晴らしい体験をしたことを、周りの人に伝えたいと思うからです。
また、魚金は、お客様とのコミュニケーションを大切にしており、お客様の声を積極的に聞き取り、サービスの改善に活かしています。この顧客満足度の向上とコミュニケーションの重視が、口コミを自然に広げる仕組みとなっています。
まとめ:成功を引き寄せる方法
主要な学びの総括
魚金の成功には、明確なビジョン、お客様への「おもてなし」の精神、「四方よし」の経営哲学、そして基本に忠実な商売の実践という4つの要素が不可欠です。これらの要素をバランス良く組み合わせることで、お客様から愛されるお店を作り上げることが可能になります。
自身の店舗に活かせるポイント
魚金の成功事例から、自身の店舗に活かせるポイントはたくさんあります。例えば、お客様に「驚きと感動」を提供するサービスを導入したり、従業員教育を通して「おもてなし」の精神を育んだり、地域社会への貢献活動に取り組んだりすることで、お客様との信頼関係を築き、繁盛店へと成長させることができます。
繁盛店化に向けて
魚金の成功事例を参考に、自身の店舗の課題を分析し、改善策を考えてみてください。また、繁盛している近隣の競合店に行って自店と比較し、競合店の「強み」と「弱み」の把握。そして、お客様の声を積極的に聞き取り、お客様のニーズを知った上でサービスの質を高める努力などを地道に続けることが重要です。
◆ 撮影のご協力
株式会社魚金
常務取締役 浅倉隆 氏
仕入部部長 片之坂 卓也 氏
http://www.uokingroup.jp/
◆ produced by
㈱プランズ 炎丸 グループ 代表取締役 深見浩一
https://prunz.jp/