
絆が世代とライバルを繋ぐ「ある一つのこと」
瀕死の企業を救った「商人の絆」
西端の死後、ニチイはマイカルと社名を変え、業態転換を進めました。しかし、急激な事業拡大の代償として、2001年に経営破綻という戦後最大の倒産劇を経験します。
そんなマイカルに支援を表明したのが、ライバルであったイオンでした。イオンの創業者、岡田卓也は、マイカルの前身である衣料店「ハトヤ」の西端とは、それぞれ「岡田屋」という小さな店の店主の頃から共に学び、競いあってきた同志でした。
イオン社内からも異論があったことは想像に難くありません。しかし、岡田はある一つのことを確認すると、「それならばマイカルは大丈夫だ」と社内の異論を抑えたといいます。その「ある一つのこと」とは、西端夫妻がハトヤの頃から毎朝の朝礼・終礼で社員と唱和してきた「誓いの詞」でした。
人の心の美しさを
商いの道に生かして
ただ一筋に
お客さまの生活を守り
お客さまの生活を豊かにすることを
わが社の誇りと喜びとし
日々の生活に精進いたします(合掌)
岡田は、この詞が西端の死後もマイカルに受け継がれている事実に、西端の志が健在であることを認めました。これは、商売の精神が時を超え、ライバルをも動かすほどの「絆」となり、企業を救ったという感動的な物語です。
商売の原則:3つの心構えと実践
絆は、特別なことをしなくても、日々の小さな積み重ねから育まれます。西端夫妻の生き方から、絆を深めるための3つの心構えを学び、それを実践していきましょう。
1. 相手を「我が身」のように大切にする心
お客様や従業員、取引先を、まるで自分自身のように大切にすること。相手の立場に立ち、何を求めているかを真剣に考え、行動に移すことで、確実に絆は深まります。
- お客様をファンにする:単なる売買の関係ではなく、個人的な繋がりを築きましょう。
- スタッフを「仲間」にする:彼らの意見に耳を傾け、失敗を恐れず挑戦できる環境を作り、成長をサポートしましょう。
- 取引先と「共存共栄」の関係を築く:単なる仕入れ先ではなく、共に商売を成長させるパートナーとして尊重し、連携を密に行いましょう。
2.「慈愛」を持って接する
常に慈愛の心を持って商売に臨むこと。自分の店の利益を優先するのではなく、親身になって問題解決に努め、相手を深く思いやる気持ちから行動することです。
3.「真実」を貫き、信頼を築く
どんなに小さなことでも、真実を貫く姿勢を持つこと。商品の品質、サービスの提供方法、価格設定など、すべてにおいて偽りがないか、常に自問自答してください。真実の積み重ねが、やがて揺るぎない信頼となり、絆を強固なものにします。
商売の未来は「人」が創る
今回は、商売の根底にある「慈愛真実」の精神と、「商人の絆」について解説しました。前回の記事で学んだ「思い」が、今回お話しした「絆」によってさらに大きな力となります。
強い思いを持つ一人のリーダーと、その思いに共感し、支える仲間たちの絆があってこそ、店舗はどんな困難も乗り越え、持続的に成長していけるのです。
商売は、常に変化し、時に困難な道を選ばざるを得ません。しかし、その先に広がる未来を創るのは、最新のテクノロジーや画期的なビジネスモデルだけではありません。
「人」と「人」とが心を繋ぎ、お互いを思いやる「絆」です。そして、その絆を育む経営者の揺るぎない思いと行動です。
次回『8.人を大切にする経営「困窮に瀕する毎日にもめげず」』では、この「絆」を育む上で欠かせない、「人を大切にする経営」について、さらに深く掘り下げていきます。「困窮に瀕する毎日にもめげず」、いかにして従業員を大切にし、商売の道を切り拓いてきたのか。どうぞご参考いただければ幸いです。
※専門家がお話を伺い、課題解決をサポートします。


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