「職人魂」と「商人道」で永続する「生涯繁盛店」へ。 あなたの商売を未来へ繋ぐ。
受け継いで200年。鰻の老舗「野田岩」五代目・金本兼次郎氏に学ぶ「生涯職人、生涯商人」の哲学。97歳で現役の金本氏の生き様は、短期的な売上を超え、顧客との絆、従業員の成長、そして飽くなき挑戦を通じて、「時」を超えて愛される店舗を築くヒントに満ちています。あなたの店舗も「生涯繁盛店」へ。
あなたの商売に「生涯」という視点はありますか?
店舗を構え、お客様を迎え入れる日々。売上を上げ、利益を確保し、スタッフを育成する。経営者や店長の皆さんは、常に多くの課題と向き合っています。
しかし、その根底にある「商売」という営みを、どれだけ深く、そして長期的な視点で見つめているでしょうか?
今回のテーマは、「生涯職人、生涯商人」。この言葉は、単に技術を磨き、商品を売るという行為を超え、自身の仕事に人生を賭け、お客様との絆を何よりも大切にする経営哲学を指します。
この連載でこれまで見てきた「顧客との心の繋がり」「顧客第一主義」「商売の原点」といった原則は、まさにこの「生涯」という視点があってこそ、真の力を発揮します。
東京を代表する鰻の銘店「野田岩」。創業は第11代将軍徳川家斉の治世、寛政年間というから200年以上続く老舗です。

その五代目店主、金本兼次郎さん(かねもと かねじろう・昭和3年東京生まれ)は、御年97歳にして今なお現役で厨房に立ち、鰻を捌き続けています。「昔は30キロ、600匹はさばいていたよ」と笑顔で語る金本さんの言葉には、長年の経験と職人としての誇りが滲み出ています。
金本兼次郎さんは、その輝かしい歴史と伝統を深く継承しつつも、単に守りに入るだけではありませんでした。
パリへの海外進出や、高級食材であるキャビアと鰻を組み合わせた革新的な料理の開発など、常に新しい可能性に挑戦し、老舗の暖簾をさらに進化させてきたのです。
職人として技を養い、商人として正しく商う。こうした営みの積み重ねがお客様のためにあることを、野田岩の繁盛ぶりが証明しています。
彼の生き様は、まさに「生涯職人、生涯商人」という言葉を体現しており、現代の店舗経営者にとって、未来を照らす羅針盤となるでしょう。
理想を失うとき、初めて人は老いる:年齢を超越する経営者の視点
一方で、経営者の高齢化が業績の悪化をもたらすという指摘もあります。
企業信用情報会社の東京商工リサーチの調べによると、減収企業の社長を年代別に見ると、60代が48.8%でトップであり、70代以上が48.1%と続きます。また、赤字企業は70代以上が22.3%で最多となっており、「高齢社長に業績不振が多い背景には、長期的なビジョンを描けず、設備投資や経営改善の遅れが横たわる」とされています。
しかし、これはあくまで平均値の話であり、経営者一人ひとりに焦点を当てれば事情は異なります。
「青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ」という書き出しで始まる、アメリカの実業家であり詩人、サムエル・ウルマンの詩「青春の詩」にあるように、年を重ねるだけで人は老いるわけではありません。理想を失うとき、初めて人は老いるのです。
金本さんが常に心掛けている仕事の流儀、それは、
- 常に同じ仕事をする
- 仕事に“美しさ”があるか
- 仕事を“作業”にしない
そこには、「今日は昨日よりもおいしくつくろう、明日は今日よりももっとおいしくつくろう」と、常に高みを目指して挑戦し続ける精神があります。
「歳を重ねるということは素晴らしいことだ。これまでの経験を生かしながら、後ろを振り返り、前を見て進んでいくことができる。生涯現役、生涯鰻職人、これが私の生き方です」という金本さんの生き方が、まさにウルマンの詩の正しさを教えてくれるのです。
※専門家がお話を伺い、課題解決をサポートします。


