人を大切にする経営「京セラフィロソフィー」紐解き 4.経営理念の作成、組織への浸透と機能の正常化

人を大切にする経営 経営理念作成の動機と正常な機能 稲盛和夫さんは、創業時に「京セラフィロソフィー」を作成。当初は拙いものだったが、その根底にある「人間として何が正しいか」という理念は、後の経営でも重要だった語っています

【この記事の概要】
 「稲盛和夫さんは、なぜ経営理念を作成したのか?」
 稲盛和夫さんは、経営経験のない創業時に自身の経験に基づいた「京セラフィロソフィー」を作成しました。当初は拙いものでしたが、その根底にある「人間として何が正しいか」という理念は、後の経営においても重要であったと語っています。このように経営理念を組織に浸透させ、正常に機能させるために何が必要でしょうか?この記事では「京セラフィロソフィー誕生」のエピソードを交え解説します。

この記事の目次

経営理念作成の動機と事業発展の条件

稲盛和夫さんは、なぜ経営理念を作成したのか?

 ここでは京セラフィロソフィーの歴史を説明して皆さんが難しく考えずに自らのフィロソフィーを作れるようにしたいと思います。

稲盛さんは技術者でしたので京セラを創業したときは経営の「ケ」の字もご存じなかったと言われています。

しかし実際に自分が経営者として社員に一定の方向性を示し、会社の方針に従ってもらう必要があるため「必要に駆られて。子供のころに親や爺さんばあさんから言われていた当たり前のことを偉そうにフィロソフィーと称して社員に示しそれを中心に経営をすることを目指しました。」と言っておられます。

そのフィロソフィーを描いた紙を奥様がご覧になり、「あなた恥ずかしいわね。字が間違っていますよ」と指摘を受けたという代物で、決して人に誇れたものではありませんでしたが、長年経営を行っている中で「あの時に考えたことは間違いではなかった」と言われています。

経営初心者だった稲盛さんが必要に迫られ、「今の自分でできる精いっぱいの方策」として考え付いた「人間として何が正しいか」ということが、大経営者になったときに「これでよかった」と思えたのです。

経営理念が機能していないと発生する問題

 稲盛さんはカネボウの粉飾や東芝の粉飾などの事件に対して経営理念をベースにした理念経営の大切さを次のように説いておられます。

粉飾は「嘘をつくこと」です。正しい経営状態を示すことで社会からの批判を避けるために決算書を粉飾して、自らの非を隠そうとする行為であり「人間として正しい行動」ではありません。

これらの会社では優秀だといわれる人たちがそろっており、何が正しいかを判断できないわけがないのですが、人間は弱いので正しいことを追求することが追いつめられると難しくなります。

そのようにならないことが理念経営ではとても重要です。

人間として「約束は守る」「人を傷つけない」「嘘はつかない」などの当たり前のことをあたり前に行うことができておれば、このような事件は起きませんでした。心して経営に当たりたいものです。

経営理念の作成と組織への浸透

1.経営理念の大原則

 もしせっかく示した経営理念を経営者自身が行っていなければ社員からは「自分ができていないくせに我々だけに“ああせい、こうせい”と言われても誰がきくものか?」と思われるのがおちです。

理念経営を行うに際しては経営者が社員に範を示せることが大事です。自ら行動できなければ示しが付きません。

ですからあまり立派でできそうもにものを掲げるべきではありません。あくまで等身大のものにすべきでしょう。

2.経営理念に込める信念と実現性

 稲盛さんは「経営理念は経営者が自らの信念で作るべきであり、経営は経営者が経営理念を高める日々をさす」と言っておられます。

ただし「もしどうしても自分で作れない場合は私の理念やフィロソフィーを使ってもいいですよ」と言っておられます。

内容は自らがしっくりくるもので最初は数が少なくともよいので自分が出来そうであり、かつ社員に共有して欲しいものを選んで体系化してみてはいかがでしょうか。

3.経営理念を浸透させるポイント

 経営理念を作って実際に運用する場合のポイントについて稲盛さんは、

「よい会社になれるよう“皆でこうあれるように頑張ろう”」と伝える必要があります。
このフィロソフィーは私が“こうありたい“というものを選んでいるので、私も全力でこのようになりたいと思って行動します。

と言っています。

さらに、

「しかし、実際には私もできないことがありますのでその際は遠慮せずに私に注意をしてください。また私も皆さんがこれをできなかった場合には遠慮なく注意させていただきますので、その場合は謙虚に反省して行動を改めてください。」

と加えました。

自社のフィロソフィーを経営者自らが作成して、よい会社になれるよう全員で経営理念をよりどころとして、ベクトルを合わせて経営に取り組みましょう。

そして、皆でこうあれるように頑張ろうと伝え行動し、至らない点は改めることの継続が大事と言えます。

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