
期待していた利用客とのギャップが生んだSNS炎上
消費者ニーズに対し「すきはな」のこだわりと実態が一致しているのでしょうか。
実際には「すきはな」のオープンと同時に、期待していた利用客は実態のギャップからSNSで次のような投稿をしました。
・想像していたすき焼きと違う
・すき焼き肉1枚とご飯で2千円
・お金持ちは高級店に、普通の人には高すぎる
・少ない牛肉の量
・焼いたら縮んでしまう肉
・高級イメージでセルフレジ
・牛丼チェーンのほうが豪華
・インバウンド向けファスト高級店
その結果、炎上しました。これも織り込み済みのこと…??
これら投稿からも顧客や消費者ニーズと「すきはな」のこだわりには大きなギャップがあることが分かります。
顧客は「すきはな」に期待をして店に行った結果、大きな不満を感じています。
具体的には、顧客や消費者の求める価格、商品、品質、品数、量、提供までの時間と食べる時間、サービスやホスピタリティ、店の清潔さ、雰囲気や居心地などの経験から得た総合的な満足度と支払った金額を比較した「費用対効果」のコスパが悪いと感じています。
そこで、このギャップを埋めるために「すきはな」のこだわりをターゲットのニーズに近づけていくか、あるいは、現在のこだわりを受け入れてくれる消費者をターゲットにするかなど、ターゲティングとこだわりの見直しなどが求められます。
「すき焼き」ってどんな料理?
そもそもの大前提として、「すき焼き」と聞いて消費者が描くイメージとのギャップが大きいとも言えます。
ちなみに、農林水産省では「すき焼き」について以下のように解説しています。
すき焼きとは醤油、砂糖、酒をベースにした割り下に、牛肉にネギ、春菊、焼き豆腐などの具材を添えて共に煮た料理。現在、東京の老舗店では関東大震災後より熱した鍋に牛脂を入れて溶かし、牛肉を炒めてから残りの具材と調味料を入れて煮込む、関西と同様の調理法が主流となっている。

このような社会通念の中、「すきはな」がこだわる斬新な野菜なしすき焼きを世間に浸透させ、さらに定着させるには相応の時間と費用、そして、努力が必要になります。
このこだわりは店舗経営、ピープル・ビジネス成功のためにとても重要なことですが、逆に落とし穴にもなります。
それは、職人気質の商品へのこだわりと店舗経営の基本である「売り手の都合と買い手のニーズ」の違いを見極め、業種業態の確立、商品開発、マーケティングや出店戦略などのビジネスモデルを開発することが必要だからです。
つまり、どんなに優れた商品であっても売り方がなければ、その商品は売れないことを意味します。
「すきはな」運営会社のペッパーフードサービスの一瀬健作社長は、「当面は1店舗のみ営業し、将来的には30店舗ほど展開したい」としています。
消費者は店がオープンすると興味本位で一度は来店してくれますが、再来店はお客様満足度によって決まる店舗経営、ピープル・ビジネスの大原則の実践が求められます。
この炎上騒動を受け、多くのお客様から高い評価を受け、安定した客足を獲得するための改善によって多店舗展開の基盤を構築し、飲食業界を牽引してほしいと切に願います。


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