
探求すべきは「何が正しいか」という本質
組織の持続的な成長にとって本当に大切なのは、個人のプライドや主観ではなく、客観的な事実に基づき、経営理念と照らし合わせて「何が正しいか」を追求することです。
組織の持続的な成長にとって本当に大切なのは、個人のプライドや主観ではなく、客観的な事実に基づき、経営理念と照らし合わせて「何が正しいか」を追求することです。
ミスや失敗が起こると、私たちは感情に流され、「あなたが間違っている」「私が正しい」と『誰が正しいか』を問いがちです。しかし、この主観的な思考は「犯人探し」に繋がり、問題の本質を見失います。重要なことは、法令遵守や経営理念といった客観的な基準に照らし、『何が正しいか』という視点で判断することです。
部下のミスや失敗を個人の責任として責めるのではなく、再発防止をチーム全体の問題として向き合うことが、持続的な成長には不可欠です。
解決策:責める文化から認める文化へ
組織の活力を取り戻すためには、以下の解決策を実践する必要があります。これらは、店舗経営における店長に必要な、育成、指導や権限委譲といったスキルを活かして、人材育成や職場環境の改善、ひいては組織を活性化させるための重要なスキルとなります。
- 「何が正しいか」の探求とマニュアル化:
経営理念を中心に「何が正しいか」を徹底的に探求する文化を築くことが重要です。個人の主観による「誰が正しいか」という考え方から脱却し、チームの責任者が自らの問題として再発防止に取り組み、マニュアルで補完できるようにすることが、持続的な成長には不可欠です。
- 強みを引き出し、弱みをカバーする:
リーダーは、部下一人ひとりの強みと弱みを深く理解し、その特性を活かせるように配置や役割分担を工夫することが求められます。チームメンバーの強みを最大限に引き出し、弱みはお互いにカバーし合うような環境を築くことで、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
- リスクの小さいミスや失敗を認める:
誰だって、ミスや失敗をすれば、責任を感じて落ち込むものです。特に成長志向の高い人は、この傾向が強く、自分を責めてしまうことがあります。そのため、組織はリスクの小さいミスや失敗を、社員が成長するための貴重な機会として積極的に捉える必要があります。失敗を責めるのではなく、その経験から再発防止を学ばせることで、社員は自律的に考える力を養います。
- フォローアップする: 指導は、三放し(教えっ放し、指示しっ放し、任せっ放し)で終わらせてはいけません。リーダーは、部下が仕事を完遂できるように、常に状況を確認し、必要な手助けを行うべきです。
まとめ:負のスパイラルを断ち切るために
これらの問題が複合的に作用することで、組織は閉塞感と停滞に満ちた状態に陥ります。そして、会社は外部からの脅威よりも、内部から崩壊することがもっと恐ろしいのです。新しい血が入らず、ベテランの既得権益が強化されることで、組織は徐々にその活力を失っていきます。
この負のスパイラルを断ち切るためには、まず「もしあなたがこの店で働くなら、働きたいと思うか?」という問いに、自信を持って「はい」と答えられる「店舗イメージ」を築くことが不可欠です。店舗イメージの低下や悪化は、最終的に人を惹きつけなくなり、応募がなくなることで、人手不足を慢性化させることになります。
犯人探しを続けている限り、ミスや失敗は再発し、やがて隠蔽されるようになり、問題が繰り返されて肥大化することになります。
次回は、最終回。組織全体で新入社員を育てるための具体的な方法論として、「当たり前」の中に価値を見出す文化の醸成、そして「心理的安全性」を築くための実践的なアプローチについて、詳しく解説します。
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