【この記事で分かること】
売上を伸ばすならココ!店舗前20mで顧客を掴む『繁盛のための集客術』
店舗前20メートルは、通行人を顧客に変える重要地点。視認性を高める看板や店頭演出で店舗の魅力を伝え、顧客心理に基づいた声かけと場所選びでチラシ・クーポンを配布します。美容室の看板改善や飲食店のクーポン券配布戦略の事例は、過去の成功例や先入観にとらわれず、新しい方法を試して効果を検証し、より良いやり方を見つけることの重要性を伝えています。この地点を制し、あなたの店の売上アップを実現しましょう。
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店舗から「20メートル地点」の攻め方
【第一の矢】店舗視認性を高める!20m手前からの訴求力
20メートル離れた位置から顧客を引きつけるための具体的な方法の一つ目は、「店舗視認性を向上させる」ことです。
多くの店舗では、正面のデザインや看板などのハード面に多額の費用をかける傾向が見られます。しかし、より重要なのは、路面店の場合20m、ロードサイド店の場合は約300mほど離れた距離から、店舗や看板が自然に視野に入るように「店舗視認性」を確保することです。
店舗の存在がはっきりと確認でき、さらに入店意欲をそそるような魅力的な店頭にすることが、店舗視認性向上の目的です。
大規模な改修が難しい場合でも、店長や現場のアイデア次第で、少ない費用で店舗視認性を向上させることは十分に可能です。
実際、新規出店時や店舗リニューアル時の看板計画は非常に重要であり、顧客の動線に合わせてターゲットに効果的にアピールし、入店につなげるように看板を連動して設置することが求められます。この看板計画は、店舗運営の生命線と言っても過言ではありません。
【事例研究】美容室の店頭看板
主動線への訴求により高い店舗視認性を実現している美容室の店頭看板(写真1)の事例を見てみましょう。
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(良い点)
1. 配色
看板全体が鮮やかな赤色で、通行人の視界に自然と飛び込み、高い視認性を確保しています。店舗のセットバックを有効活用し、大きな看板を設置することで、左右どちらからの通行人にも店舗の存在をアピールできるよう、両面を活用している点も優れています。
2. 強みの訴求
深夜23時までの営業という情報を明確に伝えることで、利便性をアピールし、競合店との差別化を図っています。
3. 安心感と利用しやすさ
提供サービスと価格が明示されているため、利用者は安心して検討できます。また、営業時間や年中無休であること、店名と電話番号が記載されていることで、問い合わせや予約のタイミングが分かりやすく、連絡もしやすい設計となっています。
(改善点)
1. 業種と店名の明確な訴求
新規顧客の獲得には、「どのような店で、店名は何か?」を一目で理解できるようにすることが重要です。特に、まだ広く認知されていないブランドの場合、ロゴマークやイメージ画像の訴求は、長年のブランド育成によって浸透しているグローバルチェーンのような効果は期待できません。
したがって、業種と店名を明確に表示することが、新規顧客への効果的なアプローチとなります。ブランド認知度向上のためにロゴマークを追加することは有効ですが、まずは業種と店名をしっかりと伝えることを優先しましょう。
2. 店名の訴求
横文字表記の店名は読みにくく、分かりづらい場合があります。カタカナ表記を追加したり、配色や文字の大きさにメリハリをつけることで、より見やすくなるでしょう。
3. 入口の視認性
看板自体は非常に目立っていますが、そのために店舗入口がやや見づらくなっています。入口周辺をライトアップするなどして、より際立たせる工夫が求められます。
【第二の矢】通行人を惹きつける!チラシ・クーポン配布の極意
20メートル離れた位置でお客様を引きつける具体的な方法の二つ目は、「通行人を惹きつけるチラシ・クーポンの配布」です。
配布のポイント:声かけと場所が成否を分ける
チラシやクーポンを配布する際は、店舗から20メートル以上離れた場所、または店舗が見えて認識しやすい重要な地点で行うことが効果的です。
配布時に注意すべき点は、ポケットティッシュ配りのように無言で渡したり、「よろしくお願いしまーす」や「クーポン券でーす」と言って手渡すだけでは、期待する効果は得られないということです。
配布ツールと一緒に、「その先左手にある○○(主力商品名または業種名)の△△(自店舗名)です」といった一言を添えて、視覚、聴覚、触覚など、できる限り五感に訴えかけることが重要です。これにより、通行人に店舗の存在を強く印象づけ、入店の動機を与えることができます。
配布場所:顧客行動を予測した戦略的なポジショニング
実際に街中では、店舗の真正面でチラシを配布する光景をよく見かけますが、チラシを受け取った人の多くは、店を通り過ぎてから内容を確認することがほとんどです。
つまり、その時点で入店する可能性は極めて低くなります。後日来店する可能性も否定できませんが、その確率は決して高くありません。
重要なのは、人の行動心理を考慮して行動することです。チラシを受け取った人のほとんどは、その場ですぐに内容を確認することは稀です。多くの場合、少し離れてからチラシを見るという行動パターンが見られます。
【一般的な行動パターン】
- チラシを受け取る
- 歩きながらチラシを見る(稀に振り返って店を見る)
- 自分に合った内容や興味のあるものであれば、丁寧に保管する
効果を上げるためには、店舗から20m離れた地点で、通行人の行動パターンを考慮してチラシやクーポンなどを配布する必要があります。
【事例研究】飲食店のクーポン券配布
(場面)
写真の通り、カレー店がランチタイムに店頭で通行人にクーポン券を配布している。
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(考察)
店の前で通行人にクーポン券を見せて配布しようとしているが、通行人が身構えてしまいなかなか受け取ってもらえない。また、店員が配布している立ち位置は店頭の端。仮に通行人がクーポン券を受け取ってくれたとしても、店前を通り過ぎて隣の店前に行ってしまう。
(改善策)
効果を上げるためには、店舗から20m離れた地点で、通行人の行動パターンを考慮してクーポン券などの配布を行う。
【効果をあげる行動パターン】
- 店舗から20メートル離れた地点で、店舗に向かって歩くターゲットにチラシ類を配布する
- 店舗の存在を知らせる一言を添えてチラシを渡す
- チラシを受け取る
- 歩きながらその場で離れてチラシを見る
- 店舗前にさしかかる
- 目立つ店頭や看板、気温や時間帯に合った商品の訴求に目を引き立ち止まる(例:猛暑時の冷たいドリンクの訴求、時間帯による店頭の変化=デイ・パート・オペレーション)
- 店内を見る(雰囲気や混雑状況を確認する)
- 入店
■注意点: 近隣店舗前でのチラシ配布は、迷惑となる可能性があるため、日頃から地域店舗との良好な関係を築くことや、コンプライアンスに十分注意する必要があります。

総括:行動心理に基づいた20メートル戦略で来店を促進
店舗前20メートル地点での戦略は、直接的な来店に繋がらなかったとしても、店舗の魅力や情報を伝えることで、将来的な来店意欲を高める重要な機会となります。
消費者は入店前に必ず店舗の印象を確認するため、チラシだけに頼るのではなく、店舗視認性の向上と合わせたアプローチが不可欠です。
効果がないと思われがちな販促活動も、顧客の行動心理やパターンを考慮し、配布場所や声かけといった細部を見直すことで、大きな成果を生む可能性があります。
実際、ある店舗では、店舗の真正面でクーポン券を配布しても来店がほとんどなく、効果がないと判断していました。しかし、この「店舗から20メートル離れた地点で、通行人に一言店舗情報を添えてクーポン券を配布する」という原則に基づき改善を行った結果、なんと3人に1人の割合で入店を実現したのです。
この事例が示すように、固定観念にとらわれず、仮説検証を繰り返しながら改善策を実行していく姿勢こそが、来店数増加の鍵となるでしょう。このプロセスは、従業員の成長を促し、最終的には店舗全体の売上向上に貢献します。
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