ディズニー流経営の極意 5.創業者ウォルト・ディズニーの想いを「現場で見て、確認して、承継する」研修プログラム

ディズニー流経営 創業者ウォルト・ディズニーの想いを「現場で見て、確認して、承継する」研修プログラム 驚異のリピート率90%を実現する夢の国を支える人づくり 教育の構成と初期教育 人は新しい環境に入って2週間で慣れていく

【この記事の概要】
 入社後、初めて見聞きしたことが、その人はその会社の基準と受け止めます。
例え、研修でどんなに良いことを教えても、現場の実態が伴っていないと現場で見聞きしたすべてのことが、その人の基準になってしまいます。ディズニーの強みは、研修で教えたことを実際に具現化された現場を見て、確認して、その基準をインプットして承継している研修プログラムにあります。

この記事の目次

店舗経営、中小企業とディズニーランド

ディズニーはテーマパークでうちとは違うよ。ディズニーランドだからできることでしょ!?

皆さん、こんにちは。

『ディズニー流経営の極意』の著者、有限会社香取感動マネジメントの香取貴信です。みんなからは親しみを込めて香取clImax貴信って呼ばれています(^^ゞ

あらためて、よろしくお願いします。

ピープル・ビジネス・オンラインは店舗経営向けのビジネスメディアなのに、何でディズニーなのでしょうか?そもそもディズニーはテーマパークであって店舗ではないでしょ。はたまた、経営規模が大き過ぎるなどと思われる方のために少し補足します。

それは、振り返ることなんと20年前のことです。

2002年に人生初のビジネス書を出版しました。その本のタイトルは『社会人として大切なことはみんなディズニーランドから教わった』です。

その中にも書いたのですが、1980年代の僕はヤンキーあがりの16歳でした。

その僕が、働くことの意味、サービスやホスピタリティーもしゃべる言葉でさえもわからないままに、当時は人不足だったこともあって、うまいことアルバイトとしてディズニーランドに入社できたのです(^^ゞ

そして、約8年間、仕事を通じて体験して学んだことが元ヤンキーの僕の人生を一変させて、今でも自分の大切な宝物になっています。

そのディズニーランドで体験した人財育成の仕組みや方法などの体験談を皆さんに伝えていこうと思います。

ときどき「うちとディズニーは違うよ。だって、テーマパークでしょ」「それってディズニーランドだからできることでしょ」などの言葉を耳にすることがあります。

どれもディズニーだから特別にできたのではなくどこの会社や組織でもできることで、人として当たり前のことを当たり前に実行して、徹底的に探究するという企業や組織のカルチャーだからできたんです。

そして、ディズニーランドは、アトラクション、ショップやレストランなどの店舗の集合体ですし、ビジネスの内容からもピープル・ビジネスそのものです。

是非この連載を読んでくれた皆さんのところで活かしていただけたら嬉しいです。

『社会人として大切なことはみんなディズニーランドから教わった』(出版社こう書房・延べ30万部超のロングセラー)

驚異のリピート率90%を実現する夢の国ディズニーを支える「夢を運ぶ人づくり」

ディズニー流教育の構成と初期教育「人は新しい環境に入って2週間で慣れていく」

 皆さんがよくご存じのようにディズニーランドで働く従業員(キャスト)の多くは時給もそんなに高くはなくて、業務内容もハードなアルバイトです。

実は、現在2万人在籍する従業員の約9割がなんとアルバイトなんです。その9割のアルバイトを中心に驚異のリピート率90%を実現しているのは、お客様の期待を超えたサービスを実現できているからで、それは教育の仕組みがしっかりしているからなんです。

当時ヤンキーあがりの16歳だった僕はそのレールに乗せてもらって「働くことの素晴らしさ」を現場で教えてもらって、たくさんの失敗を経験してきました。

そんなことの積み重ねで経験してきたディズニー流教育は大きく分けて三つで構成されていました。

■驚異のリピート率90%を実現するディズニー流教育の構成

 ・入社と同時に行われる導入教育
 ・現場OJT
 ・フォロー教育

導入教育と現場OJTは入社から2週間の間に行われる教育プログラム、フォロー教育とはデビューしてから毎日であったり月単位、年単位で行われる教育プログラムです。

人は新しい環境に入って2週間で慣れていく

 人は新しい環境に入って2週間で慣れていくとはディズニーと同じ米国発のマクドナルドのハンバーガー大学さんで出された研究結果だと、かつて聞いたことがあります。

具体的には、人が新しい環境に入った後に平均すると2週間でその環境に慣れて来て、それを過ぎると新しいことを吸収し変容することが困難となり、その為に費やされる労力とお金はその環境に入ってからの時間と比例して大きくなると言われています。

そして、ことわざ「鉄は熱いうちに打て」にもあるようにディズニーランドでも、この最初の2週間に最も大切なことを教える事に力を注いでいると教えられました。

これからそれぞれの教育プログラムについて詳しく紹介していきます。

そしてここで書いていることは、1983年4月15日にオープンした東京ディズニーランドに僕がアルバイトで入社し経験に記憶に基づく事なので、内容や現在とは違いがあるかもしれません。ただし常に進化を続けているの当初よりも現在はきっと優れたプログラムになっていることだと思います。

創業者ウォルト・ディズニーの想いを承継する研修プログラム

どんなに現場が忙しくてもディズニーランドに関わる人すべてが受講必須の研修

 ディズニーランドの生みの親であるウォルト・ディズニーさんが「Where dreams come true.(夢がかなう場所)」と言っていた理念と1955年に世界初のディズニーランド(米国カリフォルニア州アナハイムにて)がオープンした時に、パークの完成を心待ちにしていたゲストに次のメッセージを発しました。

「ディズニーランドは永遠に完成しない。この世界に想像力が残っている限り、成長し続ける」

これらから、今も新しい発想と創造力で成長を続けて、ゲストをハッピーにさせるディズニーの根本や本質は変わっていないと思います。

僕たちアルバイトが採用され入社初日に行われるのがこの導入教育でオリエンテーションと言われるものです。

これはディズニーランドに関係して働く人達のすべてが必ず受ける研修プログラムです。どんなに現場が忙しく早く人を寄こしてほしいと頼まれてもこの順番は変えてはいけないのです。

まずはこの研修を受講していない者はこの先には進めないルールです。それほど重要な位置づけになっています。店舗経営、ピープル・ビジネスでは、この初日を「First day(ファーストデイ)」と読んで特別に大切な日としています。

創業者ウォルト・ディズニーの想いを「現場で見て、確認して、承継する」研修プログラム

 このオリエンテーションの内容はとても興味深い内容です。

具体的には、創業者ウォルト・ディズニーの生い立ちから始まり、なぜディズニーランドを創ったのか。創業の想い。そしてハウスルールや私たちキャストが目指すべきゴール。その為の行動基準について教えてもらい、現場を見て回るパークツアーで締め括ります。

これだけの内容でなんと1日かけて行わる研修プログラムになっていて、日本の入社時オリエンテーションのような挨拶、電話や名刺交換の仕方などのビジネスマナーを中心とした内容とはまったく異なります。

そして、オリエンテーションで教えてもらったことが具現化されている現場を見て回るパークツアーで締め括ることで、実証例が目に焼き付くことで後の重要な基準として、新人の頭にインプットされるのです。

余談ですが、アメリカではディズニーランド建設の際に土台となる土を運ぶダンプカーの運転手にもこの研修を受けてもらったそうです。

そこで自分たちがやっているのは土を運ぶのが仕事ではなく、世界でもっとも幸せな場所であるディズニーランドを創っているんだと言う事を理解してもらって業務をお願いしていたそうです。

もし自分が担当だったらと考えると…。

当時のトレーナーは相当な覚悟で行っていたんだろうなぁと思います。

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