「災害は忘れた頃にやってくる」――古くから言われるこの言葉は、裏を返せば「常に予想し、備えがある場所には、真の意味での災害は起こらない」ということを示唆しています。たとえ自然現象としての地震や台風が発生しても、適切な準備があれば、それは「回避可能なトラブル」へと変えることができるからです。
2026年、新たな1年が始まりました。これから12回にわたる連載を通じて、皆さんの店舗における「災害への備え」を根本から見直し、同時に「経営能力そのものを向上させる」ための実践的な情報をお届けしていきます。
店舗経営者にとっての「防災」とは?優先順位の再定義
店舗経営者や店長といった現場を預かる皆様にとって、最大の関心事は「いかにして商売を止めず、大切なお客様と収入を維持するか」に尽きるでしょう。しかし、その目的を達成するための「事業継続計画(BCP)」には、絶対に揺るがしてはならない優先順位が存在します。

ステップ1:人を守る(従業員・家族・顧客の安全)
BCPの土台は「人」です。自分自身、従業員、それからその家族の安全を確保できなければ、商売を続けることは不可能です。家族の安否に不安を抱えたまま、仕事に集中できる人間はいません。災害時に従業員の家族まで配慮が行き届く体制を整えることで、職場に真の信頼関係と絆が生まれます。
ステップ2:店を守る(店舗・商品・設備)
物理的な拠点としての店舗、それから大切な商品や什器を守る段階です。什器の転倒防止や耐震対策がここに含まれます。
ステップ3:商売を守る(仕入・顧客・売上)
ステップ1と2が確保されて初めて、代替の仕入先確保や、顧客流出を防ぐための情報発信といった「商売の継続」が可能になります。
阪神・淡路大震災から学ぶ「自助・共助」のリアリティ
1995年1月17日。日本の災害対策のあり方を根底から変えた阪神・淡路大震災が発生しました。「この地域に地震は来ない」という根拠のない思い込みが、被害を大きくした一因でもありました。
この大災害から得られた最大の教訓は、「誰に助けられたか」というデータに現れています。

驚くべきことに、生存者の約95%は「自助」と「共助」によって助けられています。店舗経営において、従業員やその家族、さらには近隣店舗や地域住民との「助け合いの準備」をしておくことが、いかに生死を分けるかが分かります。


