日本の流通業を切り拓いた中内功氏から、現代を代表する経営者・柳井正氏へ。時代が変わっても決して色褪せることのない「商業経営の原理原則」は、激変する現代市場を生き抜く経営者にとって、迷いを断ち切る究極の指針となります。
💡 経営の本質と継承:ダイエー中内氏からファストリ柳井氏へと引き継がれた、成長を支える不変の教え
✅ 原理原則の重要性:小手先のテクニックではなく、商売の根幹を貫く「理念と実務」の連動サイクル
✅ 持続的な成長戦略:過去の成功に固執せず、基本を徹底しながら進化し続けるための「勝者の思考法」
元スーパー経営者の視点から、偉大な先人たちが実践してきた経営哲学を紐解き、厳しい環境下でも着実に付加価値を高め、店と従業員を幸せに導くための具体的な経営術を徹底解説します。
中内功から柳井正に引き継がれる教え
半世紀以上、今日まで商人を支え続け、世界で実証されている商いの原点
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が「私の座右の銘はこれ以外ない」と明言する一文がある。店は客のためにあり、店員とともに栄え、店主とともに滅びる――とは、「昭和の石田梅岩」と言われた経営指導者、倉本長治のものである。
倉本はその生涯を通じて、じつに多くの商人を導き、育てた。それゆえ、人は彼を「日本商業の父」ともいう。倉本長治の教え子たちの系譜を新著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』に見ていこう。まずは「流通革命の旗手」と言われた商人である。
商売人から興り、商人をめざした男
「よい品をどんどん安く」を旗印に消費者主体の流通システムを一代で構築し「流通革命の旗手」と言われた商人
もうからぬ商売を恥じよ――倉本長治さんの言葉。
「もうけない商売に誇りを持っても、もうからぬ商売を恥じよ」
この一言に「店は客のためにある」という先生の思想がある。
ビジネスとしての効率性の追求、そして「君は商売で泣くことができるか」。
理想と日々の商いの両立。
年末が近づくと、先生からの電報、ダイエーが日本の小売商として一日1億円の売上を達成した日の先生からの祝電……。
先生は今、箱根にねむる。
この一文の出典は、1993年9月23日発行の株式会社ダイエー調査室編集・発行の小冊子「For the Customers」。書き手はもちろん戦後を代表する稀代の商人、ダイエーCEOの中内功である。「よい品をどんどん安く」を旗印に消費者主体の流通システムを一代で構築し、「流通革命の旗手」と言われた中内もまた、倉本長治の教え子だ。

この小冊子の冒頭「はじめに」で、中内は「現状に甘んじて、変化への対応を怠れば、ダイエーグループに明日はない」と記している。現に、1995年に創業以来初の赤字決算から経営危機に陥り、2004年に産業再生法の適用と産業再生機構からの支援を受けることとなった。
しかし、中内が残した功績は色あせることはない。こんなエピソードがある。
商人と商売人――中内はこの二つの言葉を、次のように明確に使い分けた商人であった。
「商人とは、社会を変えてやろうという大きな志を抱いて事業を興す人であり、まったく何もないところから、世の中をも変えてしまうような新しい事業を創造する人をいう。一方の商売人とは、己の会社の利益のみを追求する人であり、社会を変えるような新しい事業を興そうという志とは相容れない」
※専門家がお話を伺い、課題解決をサポートします。


