【店舗経営の危機管理マニュアル】3.11の教訓に学ぶ「最悪を避ける」防災と事業継続(BCP)の極意

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災害後の店舗周辺の様子。ロードサイド店舗の経営者が直面する物理的被害と事業継続の困難さを可視化。ITや道具に頼り切らない、シンプルで透明性の高い組織作りが、危機管理能力と仕事の効率性を高める鍵であることを示唆。

東日本大震災にみる危機管理のあり方「災害と防災の本質」

地域や特性によって被害がまったく異なり十把一絡げに論じられない

 東日本大震災では、数十mの高さの津波が押し寄せてきた地域があれば、地震の揺れで建物が倒壊したり崖崩れを起こしたりした地域があり、二次災害で焼失した家屋もあった。

さらに都市インフラの崩壊・断絶の影響をうけた事業者もあればサプライチェーンの断絶や風評被害によって損害を被った企業もあった。

一概に東日本大震災の教訓と言っても、地域や事業・営みの特性によって被害状況がまったく異なるので、十把一絡げに論じるわけにはいかないし、ある場所の教訓をすべての地域に共通する教訓であるかのように語ることは適切でない。

つまり、防災(災害対策準備)は、何をリスクとして捉えるのかを個別具体的に把握することから始まる。

どのリスクを受け入れることにするのか。費用と効果を計算し、対策の方針を決める。費用対効果と言っても、金銭面だけの問題ではない。金銭面のことしか頭に浮かばない経営者は、間違いなく行き詰まり、失敗する。

生活も事業も、人と物と金と情報の流れによって形作られている。その流れに滞りが生じれば災害となる。つまり、どのような事態が起こっても、人と物と金と情報が円滑に流れるように対策することが防災である。

シンプルで意思決定の透明性が高い組織は、危機管理能力にすぐれている

 滞りが予想される隘路、クリティカル・ポイントを見つけてさまざまな対策をとることによって安全性が高まり、業務の無駄や無理がなくなって時間や業務処理能力に余裕が生まれ、不測事態への対応能力と仕事の効率性があがり、予備的な能力を持つことができるようになる。

それとともに従業員や家族等関係者の意識が改革されて組織への信頼感や忠誠心が高まり、あるいは精神的な余裕が生まれ、さまざまな事態への対応力がさらに向上する。そのような効果が期待できない防災施策は役に立たない。どこかに無理があるのだ。

危機管理能力のすぐれた組織はシンプルで意思決定の透明性が高い組織だ、と言って間違いない。そうでなければ危機時に役立たないからだ。ワンマンでは組織は動かないし、ワンマンこそが問題になる。

最近は防災や危機管理にIT(情報通信機器)を取り込むことが推奨され、IT化で防災が実現するかのように語られる。

業務の処理要領が明確に決められ、必要な情報が適時に流され、それに伴って人や金や物が適時に流れるようになって初めてITが有効に使われる。ITにしても備蓄品にしても、生活や業務で使用する一つの道具でしかない。上手く使えば便利になることは否定しない。しかし、それがありさえすれば防災対策が完璧だというものではない。

基本は、生活や事業の流れを見直して無駄や無理を無くし、関係者の意識を高めることで、アナログ人間の世界にも共通する。そして対処できない事態だと判断したならば、すぐに「回避し」「逃げる」準備をしておくことだ。

防災は単なる対策ではなく、生活や事業を根本から見直す機会と捉え、変革につなげる

防災は、私たちの生活や事業のやり方を根本から考え直す良い機会を与えてくれている。幅広く、深く考察することによって生活や業務を改善し、準備し、自らを変革していかなければ役に立たない。

その結果として、仕事の生産性を改善させ、私たちの成長や進歩を促しているのだ。防災によって、私たちの生活をプラスにすることを試されている。日本は、そうして発展してきた国なのだ。

※専門家がお話を伺い、課題解決をサポートします。

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