消費者の徹底選別を力に変える!激動の構造転換と価値の二極化を勝ち抜く「攻めの再構築」│2025年店舗経営総括

この記事の目次
店舗経営, 総括, 2026年, 構造転換, インフレ, 3S, DX, 生産性向上, 逆張り, 戦略, 賃上げ, タイミー, 権限委譲, 二極化, コスト管理, 経営改善, ガスト, マクドナルド, ドン・キホーテ, すき家, 人材

【小売業】巨大連合の誕生と対面店舗の再構築

 2025年の小売業界では、トライアルHDによる西友の買収に象徴される「巨大連合の誕生」と、資本力を背景としたスマートストア化が加速しました。一方で、既存の収益構造を打破し、独自の高利益モデルを構築した企業の躍進も目立ちます。

ドン・キホーテに見る PB戦略と粗利増大のメカニズム

 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が運営するドン・キホーテは、プライベートブランド(PB)「情熱価格」を通じて驚異的な収益拡大を実現しています。

  • 中間マージンの徹底排除: 自社グループによる一貫体制やメーカー直接取引により、中間流通の手数料や輸送費を削減し、高い収益性を確保。
  • 「プライベートブランド」への転換: 顧客の要望を商品開発に直結させる「ピープルブランド」宣言以降、高付加価値商品の開発とリピート率向上を両立。
  • 個店主義と機動的な価格設定: 各店舗への権限委譲により、地域ニーズに合わせた柔軟な品揃えと売価設定を行い、売れ残りリスクを最小化。
  • 現場スタッフへの大胆な権限委譲: アルバイトスタッフが仕入れから売り場づくり、POP作成といった販促までを一貫して担当。現場への権限委譲を徹底することで、本部主導では不可能な機動力のある売り場を実現し、人件費の効率化と高い粗利確保を同時に成立させています。

PPIHは2030年までにPB比率25%以上の目標を掲げており、PBは単なる「安売り」の手段から「収益の柱」へと完全な成長を遂げています。

【サービス業】堅調な回復とDXによる収益モデルの転換

 人流回復とインバウンド需要の増加が、ホテル・カラオケ業界の業績を牽引しました。しかし、需要の急回復に現場の供給体制が追いつかず、「負のスパイラル」に陥るリスクも顕在化しています。

ホテル・カラオケ業界の動向:需要回復の裏にある「縮小均衡」の影

  1. ホテル(DXと接客の両立)
    • アパホテル: 独自の「アパ直」アプリと「1秒チェックイン」機により、フロントの混雑を劇的に解消。ITによる効率化で浮いたリソースを清潔感の維持や迅速な対応に充てています。
    • スーパーホテル: 「ノーキー・ノーチェックアウト」で事務作業を最小化。スタッフが「作業」ではなく顧客への「おもてなし」に集中できる環境を整えています。
  2. カラオケ(コシダカHDの逆張り戦略)
    • 「まねきねこ」を展開するコシダカHDは、コロナ禍で他社が閉鎖を進める中、あえて積極的に新規出店する「逆張り戦略」を断行。好立地の物件を低コストで確保し、シェアを一気に拡大しました。

ここで懸念されるのが、人手不足による「早期離職と縮小均衡」です。需要が回復してもスタッフが揃わず稼働を制限せざるを得ない、あるいは過重労働により新人が定着しないケースが増えています。

理美容・リラクゼーション・クリーニング:人材の価値

  • リラクゼーション: 「カラダファクトリー」は「施術家ファースト」を掲げ、従業員満足を顧客満足へ繋げています。
  • 理美容: QBハウスのような「標準化」モデルか、高単価な「パーソナル」モデルかという棲み分けが鮮明になりました。
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