​【店側から見た「食品の消費税ゼロ」の光と闇】2026年衆院選・減税政策が招く「資金繰り」の懸念と対策

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小売業のキャッシュフローを左右する「消費税」と預かり金のイメージ。店舗運営の命綱となる運転資金の重要性と、減税によるキャッシュ流出のリスクを象徴的に表現した画像。

課題2 消費者価格は下がっても、店舗の利益は増加しない

「税金がゼロになれば、購買意欲が高まって店も儲かるのでは?」という期待もありますが、実務レベルでは課題が山積しています。

  • 「粗利益」の構造は変わらない:税率が変わるだけで、仕入れ値と売値の差額(マージン)が増えるわけではありません。
  • 消耗品の仕入れは「税別」:包装紙やトレイ、容器などの備品仕入れコストが下がるわけではありません
  • 実務負担の増大:むしろ、後述するシステム対応などの「持ち出し」が発生します。

つまり、店舗側の経営体質が自動的に改善されるわけではないのです。

課題3 「値上げ」への心理的ハードルが高まる懸念

 2026年、店舗経営を最も苦しめているのは、制御不能な「物価高騰」です。タマゴや、かつては価格の優等生だった玉ねぎ、じゃがいもは平年の1.6倍まで上昇。にんじんやトマトまでもがかつてない高値を記録しています。

減税後の価格転嫁という難問

 消費税が8%安くなることはお客さまにとって歓迎すべきことですが、原材料高騰による「商品の値上げ」は今後も避けられません。もし減税と同時期に8%の値上げを行えば、お客さまの支払額は変わらず、減税の恩恵を実感しにくくなります。

さらに、減税実施によって世の中に「安くなるのが当たり前」という空気が醸成されると、正当な理由があっても「値上げ」が心理的に難しくなります。「便乗値上げ」という厳しい視線にさらされ、本来必要な価格転嫁ができなければ、その負担はすべてお店が背負うことになります。

大手チェーンとの格差と顧客流出のリスク

 ここで深刻な問題となるのが、資本力のある大手チェーンとの格差です。豊富な内部留保や規模の経済を活かせる大手は、原材料が値上がりしても、減税による「実質的な値下げ状態」を維持し、価格転嫁を遅らせる体力を備えています。

一方で、薄利で運営せざるを得ない中小のスーパーや飲食店は、生き残るために価格転嫁が避けられません。大手は価格を据え置き、中小店だけが値上げをせざるを得ない状況になれば、これまで支えてくれた地域のお客さまが大手へと流れてしまう(奪われる)ことを意味しています。

消費税をゼロにしてもインフレは止まりません。中小店にとって、この「価格差の拡大」と「顧客流出」は、お店の存在基盤を揺るがす深刻な事態です。適切な価格転嫁への理解を得る努力に加え、大手にはない独自の価値を打ち出す工夫が、これまで以上に必要になります。

※専門家が直接お話を伺い、課題解決をサポートします。

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