「あなたの店は、どう生き残りますか?」スーパーの『撮影禁止』が意味する本当のこと

あなたの店は、どう生き残りますか?スーパーの「撮影禁止」が意味する本当のこととは? スマホを使って誰でも気軽に写真を撮れる時代に、スーパーマーケットだけが「撮影禁止」というのは現代の消費者感覚にそぐわない 「撮影禁止」が意味することとは、そのスーパーがお客様を見ているか?競合店を見ているかの問題だから 競合対策チェックリスト 愛知県尾張旭市のスーパー「生鮮館やまひこ」 は、惣菜、おにぎり、お弁当、お寿司からスイーツまでが豊富に揃い、インスタ映えする商品が人気でよくSNSにアップ

 スマホを使って誰でも気軽に写真を撮れる時代に、スーパーマーケットだけが「撮影禁止」というのは現代の消費者感覚にそぐわないかもしれません。

実際、多くの顧客はSNSに特売情報やお買い得情報、そして、売り場や店内の雰囲気を投稿し、店舗認知度を上げてくれる可能性があります。にもかかわらず、禁止を続ければ「時代遅れ」と思われ、集客チャンスを逃すリスクがあるでしょう。

そもそも、スーパーが店内撮影を禁じる表向きの目的は、販売価格が競合店に漏れることを防ぐことと従業員保護にあります。店舗経営では競合店に販売価格を把握されてしまうことは大きなリスクでもあります。

価格設定は、本部で登録された乾物、お菓子や飲料はそのままの価格で販売していますが、次の商品は店舗で価格設定をしています。

・日々仕入れ値が日々変動する野菜など
・消費者に安いという印象を与え競争優位性を高める商品(牛乳や玉子)

特に牛乳や玉子はライバル店に負けたくないため、ルーティンワークで偵察部隊を送り込んで価格調査をしていました。その方法は、メモ書き、ICレコーダーから現在ではスマホへの移り変わっています。

このように薄利多売のスーパーという店舗経営では価格が競合店に漏れることは死活問題に直結することなのです。

では「撮影OK」にした場合、どんな情報が抜き取られやすいか、経営者の視点で、つまり、スーパーの競合店チェックリストとして整理してみましょう。

■スーパー競合調査チェックリスト

1. 売上予測:カゴやレジ台数からその店の売上が分かります。

2. 売れ筋野菜の価格と陳列:入口入ってすぐの青果コーナーのチラシに載せていない、その日にお買い得になった売れ筋野菜のキャベツやレタス、大根やじゃがいもの価格と平台陳列のボリュームを撮影し、自店に戻って値段を下げます。

3. 店の混雑状況とレジ稼働台数:お客様の入り具合とレジの稼働台数を一日に3回ほど調査。その日のお客様の動向やチェックした時間からその日の売上が予測できるので自店でも必要な対応を取ります。

4. 競合対策:牛乳や玉子のその日の価格と、在庫量を撮影。

5. 環境整備:トイレや駐車場の清掃状況を撮影。三配り(目配り、気配り、心配り)レベルやマネジメントレベルが分かります。

6. 特売や販促などの情報:次の特売のお知らせや、店舗店独自の販促やキャンペーンポスターを撮影。自店の販促計画に活かします。

7. 消費者の関心が高い商品:コメ価格高騰の今なら「お米」の全アイテム(産地・価格)をキャッチし、自店に活かします。

8. 弁当・寿司類:午後に売れ残った弁当や寿司のパック数を把握、夕方なら値引き商品の多い少ないから、担当者のレベルが分かります。

9. 店舗機器の年式:レジスターや冷蔵ケースのメーカーや年式から最新機種導入状況、リース物件 or 自社資産かどうか。その店の経営体力を推し量ります。

10. 客層の把握:駐車場に停車されている車が軽自動車、高級車やトラックなどの車種から客層を把握し、商品構成や販売価格に活かします。

実はこれほど経営の秘密情報が筒抜けなのです。

そりゃあ「撮影禁止」にしたくなるのも分かります。

でもこれからは、「撮影禁止」を続けるとお客様から「えっ、今どき?」と言われてしまいます。

この「撮影禁止」が意味することとは、そのスーパーがお客様を見ているか?競合店を見ているかの問題だからです。

そのため、「撮影禁止」を続けるとSNSでの拡散が期待できず、店舗の魅力を知ってもらう機会を逃します。店舗経営においては顧客満足度向上のメリットをどう生かすかが重要です。

実際、SNSに投稿される写真は店の宣伝につながり、特売や新商品の情報を広める強力な手段にもなります。多くの顧客がスマホで友人に情報をシェアしてくれれば、広告費をかけずに知名度が向上する可能性があります。

これからは「撮影禁止」を維持し続ける方がむしろリスキーかもしれません。競合店を気にするより、顧客目線で柔軟にルールを見直すことが、時代に合った店舗経営といえるでしょう。店が「お客さまを向いている」姿勢を示すことで、長期的な信頼と売上アップにつなげられます。

リニューアルやイベントの際に撮影を促す仕組みを整えれば、人財の発想力を高めるだけでなく、顧客が自発的に宣伝してくれるケースも増えるはずです。こうした積極的な戦略は、店舗経営を進化させる鍵だと考えます。

実は、撮影禁止にしても全部バレているのですから…。

ちなみに、SNSにドラッグストアの写真を上げる人はあまりいませんね。やはりインスタ映えする「見栄え」のするスーパーの方が映えるからでしょうか。

そう言えば、愛知県尾張旭市のスーパー「生鮮館やまひこ」さんは、惣菜、おにぎり、お弁当、お寿司からスイーツまでが豊富に揃い、インスタ映えする商品が人気でよくSNSにアップされていますね。

この記事は筆者が「note」に掲載した「【撮影禁止!】スーパーで写真を撮ってはいけない本当の理由」を要約、加筆したものです。

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