消費者の声を簡単に集める画期的なアイデア
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が持続可能な消費行動の促進を目的に考案したスーパーなど小売店での「買い物カゴ投票」によって顧客から意見収集し、店を消費者目線でつくるアイデアが注目されています。
「買い物カゴ投票」とは、スーパーから顧客への二択の質問に対して、買い物客が「YES」か「NO」のかご置き場にカゴを返却して回答が行なえるシステムで、買い物客はカゴの返却場所を選んで意見を示すことができます。
これにより、買い物客は手軽に意見を伝え、スーパーはそれを参考にサービスなどを改善できるメリットがあり、顧客が手軽に参加できるスーパーと顧客の新しいコミュニケーション手段と言えます。
従来のアンケートは手間やコストがかさみ、回答者も構えがち。一方、カゴ投票ならお客様が自然に意思表示でき、生の声を得やすいのが特徴です。選挙の出口調査と似て非なるアプローチが興味深いですね。
それでは、「買い物カゴ投票」によるアンケートや意見投票のメリットを考えてみましょう。
◆「買い物カゴ投票」によるアンケートや意見投票のメリット
・口コミ・FUN効果:「自分の投票で店が変わるかも」という期待感や話題性からリピーターを育み、口コミによって新規顧客の獲得も期待できる。
・アンケート・市場調査コストの削減:事実上0円。お客様意見回収のコストの削減もできる。専門業者を使う調査と比べて低コストで早く、店内スタッフだけで実施できる。
・お客様のリアルな意見や反応の収集:買い物直後ゆえ、リアルな本音を聞きやすく、少数派意見も拾いやすい。
・店への信頼向上:実際に自分の意向が反映されれば嬉しくなり、店のファンになってくれる。
・テストマーケティング・テスト販売の取り組みやすさ:新サービス導入前や新商品の投入前に賛否を消費者に問い、意向を測る客観的データとして効果的に活用。
(懸念事項)
・調査の信頼性:回答が一方に偏ってしまった場合、積みあがったカゴを途中で回収をして公平性、信頼性が保てるかが、気になるところ…。
◆「FUN効果」とは:の関連情報は以下をご覧ください。

「コスト0円で売上1.5倍!」を実現した消費者目線の店づくり
筆者が以前紹介した「お肉のノントレー販売」を導入したスーパーでは、このカゴ投票で7割以上が「トレーなしでもお肉を買う」と答えたため本格導入に踏み切り、結果的に売上は1.5倍にもなった事例がある。
ごみ削減への意識が高い消費者が想像以上に多く、実際にお客様は「自宅のゴミ箱が空トレーでかさ張り、いっぱいになって困る…」と多少なりとも感じていたのではないでしょうか。
環境配慮のイメージアップも寄与し、店と顧客の満足度がともに上がった良い事例です。
もしも、このような調査を専門会社に調査を依頼していたら、膨大な時間とコストを費やすことが必要で中小企業や個人経営のお店には現実的ではありません。
現実的には、お客様の来店時に直接聞けば早くて確実で、その方法を知らなかっただけのこと。
このように、店舗レベルで気軽に実施できる仕組みは、店長や経営者にとって大きな利点があります。多数の来店客から素早く本音を集められ、試験的なサービスや新商品販売前のテストマーケティングでも実施しやすい。
そして、「顧客の声を直接反映してくれる店」として評価が上がれば、リピーターやファンを着実に増やすことにもつながります。
顧客と店の双方にメリットがある参加型の販促イベント事例
チェーン店や商店街で実施された参加型の販売促進イベントは、顧客とのエンゲージメントを高め、地域活性化に貢献する効果的な手段です。
先に紹介した「買い物カゴ投票」は、参加型のイベント(販促)と市場調査(マーケットリサーチ)を兼ね備えた効果的な方法です。一般的には、この種の取り組みは高額な費用が必要と思われがちですが、実際には低コストで効率的に実施でき、費用対効果が高い、いわゆるコスパが良いことが特徴です。
同様に各地域での優れた参加型の販促イベントの取り組み事例がありますので紹介します。
1.体験型イベント
スターバックスコーヒーは、顧客に製品の魅力を体験してもらうために、新商品の試飲会やコーヒー教室を開催し、顧客に製品の魅力を体験してもらう様々な体験型イベントを開催。
ユニクロは、顧客が参加できるファッションショーやコーディネート体験会を通じて、ブランドの世界観を共有する取り組みを積極的に行っています。これらのイベントは、顧客にユニクロの服をより深く理解し、楽しんでもらうための重要な機会になっています。
2.参加型コンテスト・キャンペーン
バーガーキングでは、SNSを活用した参加型のキャンペーンを積極的に展開しています。主力商品のワッパーを使った写真コンテストを開催し、顧客が自由にアレンジしたメニューをSNSに投稿し共有することでバーガーキングの商品の認知度を高めることを目的に実施。
串カツ田中では、料理や店舗の写真をInstagramやX(旧Twitter)で募集し、優秀作品には賞品をプレゼントする串カツ田中フォトコンテストを開催。顧客は自慢の串カツ写真や、楽しい食事風景を投稿し、他の顧客と共有することで、串カツ田中の魅力を拡散。
3.地域密着型イベント
京北スーパーは、千葉県柏市、流山市、我孫子市に8店舗を展開しており、地域の特産品販売イベントで地域の農家や生産者と連携し、地元の新鮮な野菜や果物、特産品などを販売するイベントを定期的に開催したり、地域の祭りやイベントへの参加、地域貢献活動、地域の文化教室やワークショップの開催などの地域密着型イベントを積極的に開催。
カインズでは、DIYワークショップや体験型イベントなどの参加型イベントや地域密着型のイベントを積極的に開催し、地域コミュニティとの連携を重視して地域のお祭りやイベントへの参加、地域貢献活動や催事スペースの提供を実施。
4.商店街の事例
地域活性化イベント
新津新光商店街協同組合が開催した「商店街スゴロク」は、参加者が商店街に設定された「マス」を巡って商店街の店舗や施設で様々な体験やゲームに挑戦して商店街を巡る地域全体を巻き込んだスタンプラリーで地域店舗の回遊性を高め集客に繋げています。
体験型イベント
富山県高岡市で2012年から開催されているクラフトイベント「市場街(いちばまち)2024」では、高岡の地場産業や文化、人の魅力を伝えることを目的とした伝統産業職人や作家によるものづくりワークショップ、工場・工房見学や高岡職人巡りロゲイニングなどの様々な体験型イベントが開催され、高岡の伝統産業である銅器や漆器などの製作体験の機会を提供。
参加型コンテスト・キャンペーン
大宮商店街連合会では、地域活性化と商店街の魅力発信を目的として、参加型の写真コンテストを定期的に開催。「大宮の素敵な商店街」など、商店街の魅力を再発見できるようなテーマで、Instagramを活用したフォトコンテストで幅広い層の参加を促し、誰でも気軽に参加ができ、参加者それぞれの視点で商店街の魅力を切り取り発信します。魅力的な賞品を用意することで、参加者の意欲を高めています。
参加型販促イベントの実施ポイント
紹介した参加型の販促イベントが成功しているポイントを要約すると以下の通りになります。
◆参加型販促イベント成功のポイント
販促イベント企画:地域住民や顧客のニーズに合ったイベント内容、小規模、低予算で実施できる企画。
シンプルな内容:顧客と店の双方にベネフィットがあり、相乗効果を生み出せて、誰にでも分かりやすいシンプルな内容。
参加型のメリット:参加者が楽しめる体験や、参加するメリットを提供。
情報拡散:SNSやWebサイトなどで顧客の口コミやイベント情報の効果的な発信。
参加者主体:参加者とのコミュニケーションを重視し、積極的に交流。
参加者と関係の維持継続:イベント後も、参加者との関係性を維持し、継続的なファン化を目指す。
これらの事例は店鋪経営、ピープルビジネス全般に活用できる素晴らしいアイデアなので、参考いただき日頃のサービス改善や小規模、低予算でできる地域や店舗の特性に合わせた参加型の販売促進イベントを企画して実践してみてはいかがでしょうか。
この記事は筆者が「note」に掲載した「【消費者の声を店づくりに活かす「買い物カゴ投票」】」を要約、加筆したものです。
